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□ただ幼かったあの時
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シゲルは昔から、事あるごとにオレにキスをしてきた。
初めてされたのは、ピカチュウと一緒にマサラタウンを出発する一ヶ月程前。
いつものように口喧嘩をして、オレが言い返そうと口を開こうとしたその時、なにか温かくて柔らかいものがオレの唇に押し付けられていた。
それが、シゲルの唇だと気づくのに、そう時間はかからなくて、オレはなんだかムカついてる気持ちも忘れて、シゲルに掴みかかって、叫んだんだ。
「い、いきなり、何するんだよ!!まーた、いつもの嫌がらせか!?」
「はあ…もういいよ、サァートシくんは本当、子供だねぇ。」
そう言うシゲルの顔はいつもより少し寂しそうで、オレの中のムカムカした気持ちが少し消える。
「おこちゃまのサァートシくんには、やっぱりまだ早いみたいだね。」
シゲルはいつもみたいに笑って、去って行った。
あの時から、オレはシゲルを意識し始めてたのかもしれない。
ただただ意味がわからなくて、幼かっただけ。