中編小説
□失恋から始める恋
2ページ/6ページ
#2
今日も空は暗い。
「雪降りそう」
「寒いしね、降るかな」
「えーやだー」
雪なんてガキくさ。
口には出さずに心の中で呟いた。
「良樹。帰ろ」
「・・・ん」
モノクロの街を掻き分けて走る電車に揺られて二人で帰る。
「良樹。帰ろ」
「・・・ん」
モノクロの街を掻き分けて走る電車に揺られて二人で帰る。
珠樹と別れてから、俺が早退しない時は何故かそうしてる。
こんな大嫌いな奴と
俺は何で一緒にいるんだ。
「でさ、そん時・・・なぁ、良樹?
聞いてんの?」
何で、何で・・・
「よ、し、き」
大嫌いって、思ってんのに
「おい!」
耳元でバチンッと大きな音がした。
「びっくりした。
んだよ、英輔」
「良樹が話聞いてなかったんだろ」
「聞いてた」
「嘘吐け」
「本当だって、面倒いな」
暗い車窓に映る二人の影。
前まではこいつじゃなくて
俺の隣には
「珠樹のコト考えてんの?」
「・・・は、何だよそれ」
思わず目を逸らす。
こんなの、肯定してるようなもんなのに。
だけど、だって、こいつが、
あまりにも
「何でお前がそんな顔してんだよ」
「だって良樹・・・何でも無い」
何で、どうして
そうやってお前まで目を逸らすんだ。