花園
□美乃くんの恋愛事情##04
1ページ/2ページ
ーキス、された。
「名無しさん先輩、顔真っ赤。」
クスリと笑われて我にかえる。
「美乃くん、今、何した?」
やばい、泣けてきた。大事にとっておいたファーストキス奪われて、泣けてきた。
「ーっ、名無しさん先輩、泣いてる?」
あーあ、美乃くん驚いてるよ。
まぁ、そりゃそうだな。
美乃くんにキスされて嫌がる子なんて、今までいなかっただろうから。
「美乃くん、帰って。」
私はしごく冷静にそう告げた。
「わかった…今日は帰るけど、俺は先輩のこと諦めないから。」
そう言って、美乃くんは部屋から出て行った。
あれから一週間。
私は美乃くんを避けに避けている。
登校のバスの時間をあえてギリギリにしたり、一緒にご飯を食べていたお昼休みをわざと友達とすごし、授業が終わればすかさず直帰している。
そんな日々を送っていると、放課後何故か西雄くんが下駄箱でまっていた。
「西雄くん…何か用?」
「ヒートでいいよ、名無しさんちゃん。
ちょっと話があるんだ、時間いい?」
「少しなら、構わないけど…」
私たちは人目につかない校舎裏に移動すると、ヒートくんが話しはじめた。
「美乃から話はきいたよ。あいつは昔っから気が短くてね…今回もこんなことになるんじゃないかと思っていたんだ。」
「ましてや名無しさんちゃん、男苦手なんだろ?」
「…うん。」
「それは解るが、彼奴の気持ちも考えてやってくれ。俺は、彼奴は本気だと思っているから。」
「そんなこと言われても…」
一度壊れた関係の修復の仕方を、私は知らない。
「今回のことー彼奴を許してやってくれないか?」
俺に任せてくれればいいから…
ヒートくんはそう言った。
…