1000年の時を越えて

□第一幕
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〜第1話 天から舞い降りた姫君〜





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「……ありません」


ざわざわ

「すごい、また藤原様が勝ったぞ」

「佐為様っ」

「佐為様素敵っ」


とある屋敷で囲碁を行う平安貴族
先程の対局で勝った1人の美しい男性、藤原佐為に視線が集まる





「それでは、失礼します」


佐為は視線を集めてたまま部屋にいる人々に微笑み、退出していった






「さて、帝の所へ行かないといけませんね……」


近くにいるにいた使用人に声をかけ、天皇のいる内裏に向かった





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__ _ … …







「………この時、ここに打てば黒が……」


「ふむ……佐為よ」


内裏で囲碁指南をする佐為に声をかける天皇


「はい?どういたしましたか?」


碁盤に向けていた視線を帝に向ける



「先程の対局で勝利したときいたぞ、流石だな」


「いえっそんな、有難いお言葉ありがとうございます」


天皇に褒められ、一瞬狼狽えたが嬉しそうに感謝の言葉を述べる



「それで、今度……」

ドサッ!!


天皇が佐為に何かを伝えようとした時、突然大きな塊が大きな音を立てて2人の側に降ってきた





「「………………」」


2人は降ってきた塊を見た後、視線を合わせた





バタッバタッバタッ‼︎

「天皇様!!藤原様!!今の大きな物音は何事ですか!?」


部屋の外に控えていた使用人が慌てて中に入ってきた




「っ天皇様!!お怪我はありませんか?」


慌ただしい使用人達を見て、はっと意識が戻った佐為は天皇の安否を問う



「っああ、どこも怪我はしておらぬ」


少し動揺を残した様子で視線を降ってきた塊に向けながら答える





ザワッ

「っこの衣は!?」


「まさかっ」


降ってきたものに集っていた使用人達が突然ザワザワと騒ぎだした



「どうしたのですか?」


使用人達に近づいた佐為



「藤原様!実はこの者なんですが……」


「っ!?女(おなご)ですか?」


集っていた中心には1人の女子が横たわっていた


「はい、しかもこの方の身につけている衣なんですが、」


「天の使いの者が身につけていると言われている衣なのです!」


使用人達が興奮したように佐為に詰め寄りながら説明をする



「なんと、あの言い伝えは誠であったか」


落ち着きを取り戻した天皇が口元をシャクで隠しながらそう呟いた



「言い伝えですか?」


使用人達が慌てて天皇に頭を下げる中、佐為は天皇の言葉に首を傾げた



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