1番線

□迷子
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初めて東京駅に来た。今から宇都宮線に乗って小金井まで向かわないといけない
その前に、京葉線ホームの近くにある店で買い物を頼まれている

が、迷った


キャリーケースを引きまわしながら、人ごみの中を右往左往する

「ん?」
視線の先には背の高いオレンジ
腕には<案内係>と腕章がついている
「あのっ!」
「はい、お客様どうされました?」
にこやかで穏やかな顔。オレンジの制服がにあっている
「あの、京葉ホームのほうにある・・・このお店ってどこですか?」
メモ帳を見せると、その方は少しだけ考えああと漏らした
「こちらのお店はですね・・・ご案内したしますね」
エレベーターを上がり、人の多い通路歩く
「東京駅初めてですか?」
「はい・・・迷っちゃって」
「こんなに複雑ですから仕方ありませんよ。さ、こちらです」
「ありがとうございます!あ、あと」
「はい?」
「宇都宮線ってどこのホームですか?」
「どちらまで行かれます?」
「小金井です」
「それでしたら25分後、9番線に小金井行きが参ります。9番線は、ここの通りの右手にございます」
「ありがとうございます・・・あの、お名前、うかがっても」
「宇都宮と申します」
「ありがとうございます。宇都宮さん」
「いえ、お気を付けていってらっしゃいませなまえ様」

オレンジの方は頭を下げると人ごみに消えていった
・・・あれ?

私いつ名乗ったっけ?

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