1番線

□変わる視線
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北陸新幹線が開業し、執務室の主は金沢に走っていった
北陸上官、いや長野上官の秘書として働いて今年で18年目

「はじめまして、ながのです」
小柄でかわいらしい上官が私の上司となった18年前
慣れない仕事、慣れない環境。それでも東海道には「在来の前では威厳を」ときつく言われていたらしい。
決して弱音を吐かず、威厳を保っていた
「上官、少しは気を抜いてもいいのではないでしょうか?私は、在来ではありませんよ」
冗談めかしてジュースを継ぎながら言うと
長野上官はわぁっと泣き出してしまった
上官とは言えともまだ子供。背中にしょいこみすぎたのだろう


それから17年
長野の背丈がどんどん伸び、私に追いつき、追い越してしまった
どんどんたくましくかっこよくなっていく長野
私にしがみつき、ジュースをねだり、午後に昼寝をする“かわいい”長野はいなかった

その姿が少しだけ、寂しかった
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