異世界への扉

□サヨナラの時
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『朱雀、七星士…芳准様が』

「ほうじゅん?」


お団子頭の少女が首を傾げてきた。


「オイラ、李芳准というのだ。分かってはいると思うが、井宿は七星士名なのだ」

「ところで、その子はなんなの?なんだか血相変えて飛び出したと思ったら、その子助けてんだもん」


この人、女の人…だよね?
なんかちょっと違和感……。


「明日香、彼は男なのだ」

『え!?』

「ちょっとぉ!バラすことないでしょー?!」

「まぁまぁ、柳宿、落ち着いて」

『男性、でしたか…』

「んで、どういう関係なんだ」

「どうと聞かれても…」

『…一緒に、旅をしていた者です』

「一緒に?」

『はい。でも、数日前にどこかに行ったきり、全然戻ってこないんですから』


ツンとそっぽを向くと、少し困ったように謝ってきた。


「す、すまないのだぁ…機嫌を直すのだ」

『芳准様がちゃんと戻ってきてくれれば、あんな目に合わなくてよかったんです』

「そ、それに関しては何も言えないのだ…」

「でもお前、もう井宿には頼れないんだぞ」

『…どういうことですか?』

「鬼宿くん、その事はオイラから話すのだ」

『芳准様…?』

「……」

『…芳准様』

「明日香。オイラとの旅は、もう…終わりなのだ」

『え』

「さっきも話だが、オイラは朱雀七星士。朱雀の巫女を守るために選ばれた者。

朱雀の巫女が現れた今、オイラは彼女を守らなければならない使命なのだ」

『私は、行けないのですか』

「…着いてくれば、先程よりも辛い目に合う」

『でも、芳准様がいれば…』

「オイラの役目は巫女を守ること。もし、君と巫女が同時に危険な目にあっていたら、オイラは迷わずに君を見捨てる」

「ち、井宿…何もそんな言い方…」

『っ…』

「そんなことはしたくない」

「…ぁ…あの、明日香さんさえ良ければ一緒に、」

「朱雀の巫女」

「は、はい」

「これは、そんなに簡単に決断することではないのだよ」

「……」

『…分かりました』

「明日香さん…」

『それが運命であれば抗えません。素直に受け止めます。巫女様』

「は、はいっ」

『芳准様…いえ、井宿様はこんな見た目ですがとても強い方です。安心してください』

「…はい」

「こんな見た目とは酷いのだ〜」

『人は見かけによらないって事です。3年間一緒にいた私が言うんですから』

「あの、明日香さんはこれからどうするんですか?」

『さぁ…流れるままに身を任せます』

「明日香」

『もう18です。ひとりでも大丈夫ですよ』


長居は無用、と立ち上がりその場を去る。


『お元気で』


少し進んだ時、後ろから呼び止められる声がした。


「明日香!」

『…芳准様』


駆け足で駆け寄ると、勢いのまま腕の中に収められた。


「すまない」

『…謝ることないです。あなたの道なのですから。私は、私の道を行きます』


ゆっくりと体を離し、少し見つめ合っていると、芳准様が仮面を外した。
仮面の下は、片目に傷があるが整った顔をしていた。


『…初めて、ですね。素顔を見るのは』

「あぁ…これが、俺の素顔」

『素敵です。…あなたの無事を祈ってます』

『芳准様。最後に、ひとつ…私の欲を出してもいいですか』

「なんだ」


両手で芳准様の頬を包むと、背伸びをしてそのまま口付けた。


「明日香」

『好きでした』

「……」

『…もし、またどこかで巡り会えたら、また一緒に旅をしてください』


深く頭を下げると背を向けて歩いていった。






「全てが終わったら、必ず君を探し出す…のだ」




END・2020/02/17


即席で考えたやつで流れるままに書いたやつなので
結構無理やりに終わらせてます。
読みにくかったらすみません!




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