異世界への扉

□皇帝陛下の
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『んぅ…………あ、髪、解けてる』


お昼寝から目覚めた明日香は髪が解けているのに気づき、部屋を出て柳宿の部屋に向かった。


コンコン

柳「はーい」

『明日香です』

柳「明日香?どーぞ」

『柳宿様ぁ……』

柳「どうしたの?」

『あのね、お昼寝してたら、髪解けちゃったの』

柳「そう、じゃぁもう一度結い直しましょ」

『ありがとう!』


至極申し訳なさそうな顔をする明日香に少し吹き出しながらも部屋に招き入れ鏡の前に座らせた。


柳「また美朱と同じ髪にする?」

『うん!』


ニコニコしながら髪を結ってもらう明日香に柳宿も頬が緩む。


柳「はい。出来たわよ」

『わー…ありがとう!』


さっさと椅子から降りて扉に向かう明日香。


柳「どこ行くの?」

『巫女様に見せてくる!』


と、嵐のように去っていった5歳児。

回廊をぬけていくと、翼宿にぶつかった。


『わぁ!』

翼「危なっ」


反動で後ろに転びそうになったのを背中を支えてくれた。


翼「気ぃつけや」

『ごめんなさい』


翼宿と別れると、いつもの池に井宿が釣竿を垂らしていた。


『井宿様!』

井「だ?明日香ちゃん、どうしたのだ」

『巫女様探してるの』

井「美朱ちゃんなら今鬼宿くんと街に出ているのだ」

『そうなの…お魚釣れる?』

井「釣れないのだー」


モゾモゾと井宿の脇から入り、井宿の足の間に座り込んだ。


『巫女様が戻るまで井宿様といる。いい?』

井「もちろんなのだ」


ふだりでのんびり釣り糸の先を見ていた。
ふと気がつくと、明日香がコクリコクリとうたた寝していた。


井「だぁ……寝ちゃったのだ」


小さな少女の頭を撫でながら、彼女をどうしようかと考えているところに
丁度、美朱たちが戻ってきた。


井「明日香ちゃん」

『ん…ぅ、井宿様あ?』

井「美朱ちゃんたちが帰ってきたのだ」

『ほんと?』


井宿の視線の先には笑い合う美朱と鬼宿。
それを見つけた明日香は井宿の手から離れ美朱に駆け寄った。


『巫女様ぁ!』

美「あ、明日香ちゃん」


美朱も明日香を見つけると、明日香の目線まで屈んでくれた。


『おかえりなさい!あのね、今日巫女様と同じ髪にしてもらったの!』

美「ほんと一緒だね!」

鬼「可愛いじゃないか」


鬼宿に撫でられまたも嬉しそうにする明日香。


美「明日香ちゃん、今から私の世界のお菓子作るんだけど、明日香ちゃんも一緒に作る?」

『いいの?作る!』


その後、宮廷内には甘い匂いが漂っていた。





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