異世界への扉

□皇帝陛下の
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『兄上ー』


ドタドタと宮廷を走り回る小さな子ども。
勢いよく入り込んだのは、兄である星宿の執務室。


「明日香様、いけません。皇帝陛下はお仕事中ですよ」

星「よい。どうしたんだ、明日香」

『兄上!また柳宿様に髪結ってもらったの!今日は巫女様と同じなんだよ!』

星「そうか、よく似合っておるぞ」


大好きな兄に褒められ、頭を撫でられ満足そうに笑う明日香。
歳の離れた、まだ5歳の少女を抱きかかえると、


星「本当にお前は愛らしいな」


ギューッと抱き締めればモゾモゾと腕の中で藻掻く。


『んー…兄上、髪が崩れちゃう』

星「すまぬ」

『みんなにも見せてくる!』

星「あぁ、あまり走らぬようにな。転んでしまうから」

『はい!』


星宿から離れ、再び宮廷内を回る。


『あ、たま』

「みゃ〜」


どこからともなく現れた気ままな猫・たま。
明日香は足を止め擦り寄るたまを撫でる。


『たま可愛い』

「みゃ」

『あ』


何かを見つけたたまは、そちらに駆け出した。


『あ、軫宿様!張宿様!』

軫「明日香」


そこには、出先から戻ってきた軫宿と張宿。
たまはすぐに軫宿の肩まで登った。


張「あ、そうだ。明日香さんにちょうどいい本を見つけてきたんです。文字の勉強にどうでしょう」

『わぁ、ありがとう!』

張「せっかくなので、僕が教えますよ」

『本当?やったぁ!』

『軫宿様、抱っこして!』

軫「またか?」

『うん!』


明日香は軫宿に抱き抱えられるなのが好き。
それは、背がいちばん高いため、高い位置から周りを見渡すことが出来る。
それと、たまと同じ目線になれるから。

そうして、軫宿に抱き抱えられたまま張宿の部屋に向かった。


『ありがとう。軫宿様』

軫「文字の練習、頑張れよ」

『はい!』


大きな手に撫でられ、またも嬉しそうな明日香。


張「それじゃぁ…明日香さんが覚えたい文字をまずは練習しましょう」

『覚えたい文字…?』

張「そうです!」

『うーん……あ!“ありがとう”!』

張「ありがとう、いいですね!では、30回書いてください」

『30…』

張「文字は書くことが大切です」


それから、いくつか練習している間
眠気が襲ってきて、いつの間にか本を枕にしていた。

張「あれ、明日香さん…」


読んでいた本から顔を上げると夢の中の明日香。

張宿は抱き抱えると、自分のベッドに寝かせ部屋を出た。





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