異世界への扉

□それは君を見つける道標
2ページ/5ページ



後日、神座宝探しの旅に出た。
道中様々な障害があったが、無事に北甲国で神座宝を探すことに。


「手分けして探した方がいいと思います」


張宿の提案で2人1組で別れて探すことに。
私はもちろん、柳宿と……


「何かあったら、この照明弾で知らせてください。直ぐに向かいましょう」




『さむぅ…』

「さすが北甲国ね、何処も彼処も雪景色よ」

『…小さい頃は、雪が好きだったなぁ』

「あら、今も小さいじゃない」

『どういう意味っ』

「あー。神座宝の手がかりないわねぇ〜」

『あ!話し逸らした!』


少し先を歩く柳宿に追いつこうと駆け出した時、


「見つけた……朱雀の巫女!」

『──!』


屋根の上から大きな何かが降ってきた。


「明日香!」


ザシュッ─
『っ…あれ』


明らかに何かに裂かれた音がしたが、痛みはやってこない。
目を開けると、柳宿の腕の中だと分かった。


『柳宿っ』

「明日香、大丈夫?」

『うん……柳宿!怪我してる!』

「これくらい平気よ」

「朱雀の巫女、覚悟しろっ」

「なによあんた」


朱雀の巫女…美朱と勘違いしてる……。


「青龍七星士、尾宿…朱雀の巫女を渡せ」

「断る」

『柳宿……』

「あんたはあたしの後ろにいなさい」


尾宿が再び飛びかかってきた。
柳宿は応戦する。
私は、何も出来ずにただ祈るだけだった。


「っ……明日香!照明弾!」

『え…は、はいっ』


柳宿に言われ、照明弾を出すと
それを取り尾宿に向かって放った。


「くっ……くそ、覚えてろよ」


戦意喪失したのか、尾宿は去っていった。


「はぁ…」

『柳宿!』


堪らず柳宿に泣きつくと、頭を撫でてくれた。


「大丈夫よ。これくらい」


近くに宿を見つけて、そこで一晩明かすことにした。


『……』

「…なにまだそんな顔してんのよ」


泣きそうな顔をしながら傷の手当をしていると、そんなことを言われた。


『だって…私のせいで…』

「あんたのせいじゃないわ」

『私は、守られる対象じゃないよ。巫女でも、なんでもないんだから』

「…馬鹿じゃないの」

『……』

「あんたは守るべき人なの。少なくとも、あたしにとっては。大好きで、大切な人なんだから…」

『柳宿っ』


泣きそうな顔を、優しく見つめてくれて
ゆっくりと互いの顔が近ずき、重なった。


……。


夜は、ひとつのベッドに身を寄せあった。


『……ねぇ、柳宿』

「……」


返事がない。
代わりに、規則的な呼吸だけが聞こえた。


『…寝ちゃった』


指輪、渡そうと思ったんだけど…。

出発前に美朱とふたりで買いに行った指輪。
やっぱり、全てが終わってからにしよう。

そう思いながら、柳宿の背中に手を回し眠りについた。





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ