異世界への扉

□嫌って
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翌日、


「…ごめんね。元気でね。」


明日香がまだ眠る中、額にキスをして家を出た。
机には置き手紙。



明日香

昨日は、怖い思いをさせて、傷つけてごめんなさい。
僕はもう、きっと君の元へは戻らない。
いや。戻りたくても戻れないだろう。
君は、他の幸せを見つけてください。
さようなら。

柳娟




「さよなら、明日香」




……。



宮廷に集まり、これから出陣の時。


「…柳宿、なにか落としたよ?」

「え?」


美朱から渡されたのは手紙。




柳娟


あなたの無事を祈っています。

あなたが帰ってくるのをいつまでも待ち続けます。

我爱你


明日香




「……」

「最後の文字だけ見ちゃった。我爱你って、愛してるって意味だよね。それって星見祭りで一緒にいた女の人?やっぱり恋人だったんだ!」

「ふ……やーね。"まだ"恋人じゃないわ」

「まだ?」

「恋人じゃないけど、とっても大切な人…初めて心から好きになった人」

「じゃぁ、その人のために生きて帰らなきゃね」

「……そうね」


明日香。
生きて帰るよ、君の元に。

ちゃんと謝る。
だから、またあの笑顔で出迎えて。
そしたら、今度は僕から伝えるから。


……。







『……おかえりなさい!柳娟』

「ただいま」

「明日香
好きだよ」





END・2020/02/13
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