異世界への扉

□観察
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『ごちそうさまーっ』


今日も明日香は美味しそうに朝食を平らげた。


柳「…」






部屋を出て宮廷をうろつく明日香の後をコソコソ追う。


あ、鬼宿と話してる。

なんか鬼宿、明日香に頼み込んでるけど…
明日香はちょっと呆れてる。

明日香がポケットからなにか出した。
あれは…見たことないわね。
明日香の世界のものかしら。

鬼宿はそれを受け取ってルンルンで出ていった。

あれは出稼ぎね。あの守銭奴…。
まぁ、家族のためだから仕方ないか。

あ、明日香がどこか行く。














今度は翼宿に会った。

何話してるのかしら?
凄く笑ってる(翼宿が)


翼「ほんま柳宿の怪力には泣かされるで!」


柳「…」

どんな話してんのよ。
翼宿のやつ今度泣かせてやるわ。













翼宿と別れたあと、張宿に会った明日香。


柳「…本」


張宿が持っていた本をふたりで覗き込む。

これまた見たことない文字が表紙に書かれている。

あれも明日香の世界のもの?
そういえば少し前から明日香の本で勉強してるって、張宿言ってたわね。

珍しく張宿が教えられてる。


そこへ、軫宿もやってきた。

こちらも見たことない文字の表紙。
明日香の世界のか。


しばらくふたりに教えている明日香。

満足したのか張宿と軫宿と別れた。













次は、何かを見つけて庭に出た明日香。

向かう先にはいつものように池に釣り糸を垂らしている井宿のもと。

井宿の隣に座りふたりで池を覗き込む。


何を話してるのかは分からないがふたりとも凄く笑ってる。
楽しそう…。



「明日香」



そこへ、星宿様がやってきた。
3人で談笑してる。


柳「…」


じぃーっと見ていると後ろから声がした。



「何してんだ?柳宿」

柳「ひぇっ!? 鬼宿っ」

鬼「?」



鬼宿はあたしとあたしの視線の先を交互に見るとニヤリと笑った。



柳「な、なんでもないわよ!」

鬼「ほほーぅ」


鬼「明日香ー♪」



至極楽しそうに明日香たちに駆け寄ると、明日香に耳打ちした。



柳「な、なんなの…」



耳打ちされていた明日香は驚いた顔でこちらを見た。



柳「…!」



瞬間、あたしは走り出し鬼宿を蹴飛ばした。



『!?…… ぬ、柳宿?』

柳「おほほ〜。明日香、鬼宿の言うことは気にしちゃダメよ?それじゃ、ごめんあそばせ〜」

『…』












鬼宿のやつ、絶対余計なこと言ったわね…。

あたしが明日香のこと好きなのバレたのかしら。



『あ。いた、柳宿』

柳「っ!? あ、明日香」



見つけるなり、駆け寄ってきた明日香の顔は申し訳なさそうだった。



『あの…柳宿』

柳「な、なに?」

『…ごめんね』

柳「…え?」

『嫌、だったよね。私が星宿と話してるの』

柳「…え?」

『だからその…私が星宿と仲良くしてたから、柳宿、怒ってて』

柳「はぁ?別に怒ってないわよ」

『そう、なの?…でも鬼宿が』

柳「…あんた、鬼宿に何言われたの」

『え…えっと、私が星宿と話してるから、柳宿が怒ってるって』

柳「…」

『柳宿、星宿のこと好きだもんね、ごめんね』

柳「ちがっ!…それは昔のことでしょ!別にあんたに怒ってないわよ」

『そうなの?じゃぁ、どうして睨んで…』

柳「睨んでないわよ」

『えー睨んでたよ!』

柳「少なくともあんたを睨んでなんかないわよー」

『えーじゃぁなんであんな怖い顔してたの?』

柳「誰が怖い顔よっ」

『してたから』

柳「もうっいいじゃない!なんでもー」

『けちぃ』


まだ言わないわよ。あんたへの気持ちは





END


2021/05/28
 

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