異世界への扉

□嫌って
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『おかえりなさい!柳娟』

「ただいま」


笑顔を向けて出迎えてくれる彼女を見ると、今までの旅の疲れなんてどこかへ行ってしまう。

彼女との出会いは5年ほど前。
身寄りのない彼女を人攫いが連れていこうとしたところを助けたのがきっかけだった。
以来、ウチに住んでいる。

もうその頃には康琳はいなかった。
明日香は、差し伸べたあたしの手を握って言った。

─『女の子なのに、強いんですね』

その時の、悲しそうに笑った顔が今でも忘れられない。
以来、彼女は男性が苦手のようだった。

それから一年近く、自分が本当は男だということを打ち明けられずにいたが
打ち明けたら案外、すんなり受け入れてくれた。


『長旅お疲れ様』

「ホント、疲れちゃった」

『また、直ぐにでるの?』

「ううん。2週間くらいゆっくり出来る」

『本当に?!良かった』


そう嬉しそうに笑う彼女の頭をくしゃりと撫でると頬を薄く染める。

自分が帰ってきたその日は決まって、布団を並べて、これまでの旅の事や明日香の周りのことを話し合いながら眠りに落ちる。




……。


『ねぇ、柳娟』

「んー?」

『今夜、星見祭りみたいよ。行かない?』

「星見祭りか。いいわね、行きましょう」


その日の夜、明日香とふたりでお祭りに出かけた。

そこに見つけたのは、美朱と鬼宿、翼宿、星宿様。


「おー、柳宿やないかい!」

「柳宿も来てたんだ!」

『……』


明日香は察したのか、笑顔で会釈した。


「柳宿、ちょっと話があるのだが、少しいいか」

「はい。美朱、ちょっとこの子の相手頼むわ」

「うん、わかったー」


星宿様に呼ばれ、鬼宿、翼宿も一緒に
明日香と美朱から距離を取る。

話を聞き、明日香に視線を向けると楽しそうに美朱と話していた。

あの笑顔を、守りたい──。






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