名もなき七星

□第八章
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「明日香。鬼宿まだ帰ってこないの?」

『うん、そうなんだ。…あれ、美朱?』

「え?…美朱!」


回廊で柳宿と話をしていたら、美朱が走り回っていた。


「明日香!柳宿!
 わぁー!元気だった?!

 ところでっ」

「でっ!急に真面目になんないでよ!」

「鬼宿見なかった?」

『あぁ…、鬼宿、今いないんだ』

「いない?」

「そ。金儲けして田舎に帰るっていって、少し前に出ていったわ」

「…」





「なに…鬼宿に会いに行く?」

「うん」

「危なくはないか」

「大丈夫だよ。柳宿も明日香も来てくれるって」

「柳宿と明日香も?」

「見て!ちゃんと男の子の格好してくれたんだ」

「女の格好じゃあんたたちを守れないからよ」

「しかし、明日香も行くのか」

『なにか役に立つかも』

「明日香ってこう見えて、すごいんだよ!剣道で全国3位、弓道で全国1位!」

「けんどう?きゅうどう?」

『あー…剣と弓だよ。自慢じゃないけど、私達の世界でトップなんだぁ』

「思いっきり自慢じゃない」

『だから、美朱を守るくらいはできると思うよ』

「…しかし、」

「大丈夫ですよ。あたしがちゃーんとふたりのおもりしますから」

「…倶東の密偵が侵入しているとの情報がある。気をつけろ。

 美朱、これを持って行きなさい」

「それは?」

「四神天地書だ。残りの七星士を見つける、ただ一つの手がかりだ」

『でもこれって大切なものなんじゃないの?』

「太一君も、朱雀の巫女に持たせるのならお許しくださるだろう」



星宿の忠告を聞き、3人で馬を走らせた。

美朱は塗りこの後ろに、明日香は一人で、、



「明日香、馬も乗れたの?」

『まぁ、美朱が帰ってる間にね』

「本当、運動神経いいんだね」

「この子ってば、あたしや星宿様にも内緒で一人で遠い村まで行ってたのよ。本当信じらんない」

『柳宿ってばまだ言ってるの?柳宿も知ってるでしょ。あの人たちはいい人なの』

「…」


柳宿は納得のいかない顔で明日香に視線を向けるが、当の本人は全く気にもとめていないようだ。



『でも、美朱が帰ってきてよかった。鬼宿きっと喜ぶよ』



話していると、急に辺りが薄暗くなった。



「あら、なに。この不気味な薄暗さ」

「わぁっ!どんどん暗くなってくよ」

「あらやだ真っ暗〜」

『柳宿、道合ってる?』


と、突然柳宿と美朱の馬が止まり、美朱が馬から落ちた。



『美朱っ!?』

「ちょ、あんた大丈夫?」

「っ…ぅ〜、、」



すると、美朱の目の前に人影が現れた。



「な、何すんのよっ」

「お前何者だ!」

「え、今の声…」



辺りから松明を持った人たちが現れ、人影っを照らした。



「…鬼宿」

「美朱…。本当に美朱なのか」



互いを確認し、抱き合う二人。

それを外から見る柳宿、明日香、その他大勢…。



『わぁー…完全に二人の世界』

「ん"ん"ん」



柳宿の咳払いで二人の世界から戻ってきた鬼宿と美朱。



「鬼宿さん、お知り合いですか?」


鬼宿の知り合いだろう人たちが尋ね、紹介した。


「こいつは美朱。朱雀の巫女だ」

「えぇ」

「こっちは美朱の友達の明日香と、それからオカマ」



バコッと柳宿に殴られ紹介し直す鬼宿。



「基、俺と同じ朱雀七星士の柳宿」

「でーす♪」

「倶東のことは聞いたろう?こんな状況だ。最近不審な奴らが出回ってるらしくてよ」

『ほぅ、それでお金儲けにここの用心棒してたのね』

「そういうこと♪ 俺がいればこの村は安心ってわけだ」






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