名もなき七星

□第六章
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「た、太一くん…」

「如何にも、わしがこの世界を司る太一くんじゃ」

「お、鬼婆…?」

「傷口開いてやろうか」

「すみません」

「…星宿、何顔を背けておる」

「私は、醜いものは見たくないっ」
ドカッ バキッ

「しかし、柳宿以外は酷い怪我じゃな。
 とりあえず、怪我の手当をするぞ。ハッ」


太一くんが念を送ると明日香たちのいた場所が浮いた。


「すごい」

「ここが太極山か…」

「ここは選ばれたものしかこれん。例え来れたとしても邪念のあるものにはただの岩山にしか見えんだろ。」






「まずは、その傷を治さんとな。娘娘」


ピンクのシャボン玉が飛んできて、それが割れると同じ女の子が数人出てきた。


「その者たちの手当をしてやれ」

「はーい」

「太一君。私より、明日香たちを十分に見てあげて。私のためにあんな傷を」

「お前は」

「私はいいです」

「ダメー!」


娘娘に制服を脱がされる。


「わしの教える元の世界へ帰る方法は、今のお前たちには危険すぎる」

「私、早く帰りたいんです。受験もあるし」

「そんな血の気の引いた顔で何言ってる」

『なら、血が必要なら、私のを美朱に…』

「私のも」

「俺のも使ってくれ」

「…そうすれば、お前たちの力は半減されるぞ」

「本望だ」

「タダで血流しても、もったいねーじゃん」

「星宿…鬼宿、明日香」

『…帰るんでしょ』

「…ありがとう」

「わかった」

「あたしのは?」

「また今度にしておこう」

「なぁんか感じ悪いわね」



「今から、念力でそなたたちの血を美朱に送る。そこに跪け

 3人とも、苦しいと思うが覚悟しろ。美朱も」


太一君が念を唱えると、体から血が抜ける感じがした。


『っ…』


しばらくその感覚が続いた。


「もう良いな。3人共、よく耐えた」




「さて、朱雀の巫女も元気になったことだし、元の世界に帰る方法を教えよう」

「はい」




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