名もなき七星

□第五章
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美朱の熱も下がり、体力が回復したところで太極山に向けて旅に出ることになった。

あの日から、美朱と鬼宿がよそよそしい。

そして、美朱は星宿の馬に、明日香は柳宿の馬に乗り宮廷をでた。

夕方頃かなり進んできたが、ほとんど会話もなかった。


「このステーキ今日買ってきたのーすてーきー!」


・・・・。


そんな調子で、一日馬を歩かせ森の中で休むことに。


「明日香。明日香っ」

『んむ…柳宿。なに』


寝ていたところを起こされた明日香。


「面白いもの見せてあげる」

『面白いもの?』


連れてこられたのは、森の奥の泉の近く。


「上に隠れるわよ」

『えっ、う、上に?』


なんやかんやで木に登らされたところに美朱と鬼宿の会話が聞こえてきた。


「「ごめん」」

「俺、女の子に好きとか言われたの初めてで冷たい言い方して、悪かった。

 でも、太一君のところには責任もって連れてってやるから、元気だせよ!」


そう言って鬼宿は走って戻っていった。


バキッ

『わっ』

「ぬ、柳宿!明日香!
 ということは…はめたのね! ありがとう!」

「ちょっと、離れなさいよ」

「私、鬼宿に嫌われてたわけじゃなかったのね!」

『美朱、上くらい着てさ…』


美朱が柳宿の襟を掴みグラグラしてると胸元がはだけてしまった。
しかし見えたのは、男の胸板。



「『え…お、男ーっ!?』」

「バレたら仕方ないわね、そう。私は男」

「男のクセに、星宿が好きなの?しかも鬼宿にキスまでして」

「あたし、愛のためなら男の道をも踏み外すわ」

『はは…』


人生で一番驚いたかも。


『じゃ、先戻ってるよ気をつけてね』

「うん。ありがとう」



『…柳宿、お姉さんじゃなくて、お兄さんだね』

「お兄さんって呼んだら、ぶっ飛ばすわよ?」

『ひえ。すみません』




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