名もなき七星

□第四章
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『あれ、美朱?

 みあっ…んむ!?』


宮廷を出ていく美朱に声をかけようとしたとき後ろから口を押されられた。


『んんむ!』

「あら、ごめんなさい」

『柳宿!なんなのっ』

「しー。跡付けるわよ」

『え…一緒に行けば…』


柳宿に手を引かれるまま、宮廷を出た。


『ねぇ、コソコソしなくても…』

「静かにしなさいよ」


美朱のあとを着いてくと、鬼宿が商売をしていた。
手に持っていたのはフーセンガム。


「さぁさぁ!これはあの朱雀の巫女が持ってきた異世界の菓子だよ!」


しかし街ゆく人は「偽物じゃないか」と文句を言っていた。


「その人の言ってることは本当よ!そのガムは私がちゃんと彼にあげたんだから!」


我慢できなかった美朱は被ってた羽織を脱ぎ叫ぶと辺りはパニックになった。


『ちょ、ちょっとまずいんじゃない!?』

「ちょっと、早く追うわよ」

『えぇ』


人混みから抜け出したふたりを追うと、裏路地で輩に絡まれていたが鬼宿が全員ねじ伏せた。


『…あ、雨』

「あらやだ。降ってきたわね」


影から2人の動向を伺っていると曇り空から雨が降ってきた。


「どうしてそんなにしてくれるの!」

「どうしてって…どうでもいいだろ」

「よくない!だって私、あんたの事が好きなんだもん!
 ぁ…」

「…悪いな。俺、興味ねーから」

「鬼宿…」


『…帰ろ』

「そうね」


鬼宿たちに気づかれる前に戻ろうとした時、後ろからバシャッと音がし振り返ると美朱が地面に倒れていた。


「美朱!」

『!』


駆け寄ると、荒く呼吸をしていた。


「明日香、なんでこんなとこに」

『熱っぽい…鬼宿、美朱運んで早く宮廷戻るよ!』

「あ、あぁ…」


宮廷に戻ると急いで星宿を呼びに行った。

その後、医者も呼ばれた。




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