名もなき七星
□第二章
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「それじゃ、体に字のある人、手ぇ上げてー!」
……。
「あれ?」
「本人の意思で字が出るわけじゃねーんだ。それに本人が知らない場合もある。
んじゃぁ、俺がちょっくら試験してやりますか!」
と、鬼宿が集まった兵士をひとりでなぎ倒していく。
「あれ…もう終わりか?」
「鬼宿…そなたの強さを証明してどうする」
あきれかえる星宿をよそに今度は美朱が前へ出てきた。
「さぁ、どこからでもかかってきなさい!」
「…朱雀の巫女様にそんな恐れ多いことはできません」
「そんなこと言って、本当は私が別の世界から来たから怖いんでしょ!腕に自信があるってその程度?
やーいやーい弱虫!」
「こ、このぉ」
「あれ、みんな怒ってる…みんな七星じゃなぁーい!」
『いや、あれだけ言われたら誰だって怒るって』
そして追いかけ回される美朱。
「っ!お前らマジになりすぎなんだよ!』
ドカッ
鬼宿の一撃で吹き飛んだ兵士たちだが、ひとりの兵士が投げた武器が美朱が逃げ込んだ東屋の柱にあたりヒビが入った。
直後、鬼宿が駆け出し屋根が崩れ落ちる。
「美朱ー!」
星宿と東屋の方にかけて瓦礫を避けていく。
『美朱!』
「美朱!鬼宿!…なんてことだっ」
「私にお任せ下さい」
『…うわぁ』
綺麗な人…
突如現れた女性。
すると、その女性は崩れた大きな瓦礫をヒョイヒョイと片手で持ちあげ投げていく。
『…ぅ、嘘』
どんどんと瓦礫を避けていくと見えてきたふたり。
『美朱!鬼宿!』
「あら、生きてるわ。悪運強いわね」
「そなたは、後宮の妃のひとりか」
「はい」
『さっきの力ってもしかして、、ん?』
胸元に、、
『あの、その胸元のって…』
「これですか?
…私の名は康琳。七星名を柳宿と申します」
『朱雀七星っ』
「3人目がこんなに早く見つかるなんて!
助けてくれてありがとう。私 結城美朱、よろしく」
美朱の差し出した手を無視して鬼宿に近づく柳宿。そして、
柳「私が助けたかったのは、こちらの方ですわ。」
くちづけた。
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