*Dream trip

□Chapter.4 悪あがき
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「.........眠い」







自分の部屋だと教えられた場所で、閉じそうな目をどうにかしてこじ開けた。




















今は夜の.....何時くらいだろうか、きっと12時は過ぎているだろう。そんな真夜中まで何故起きているかと疑問に思う人はいるだろうが、これにはちゃんとした理由がある。












「......明日から嶺帝学園に通うようになるんだ..........私が、」





そう、ゲームの中で皆が通っていたセレブな人達ばかりが居る夜間学校。嶺帝学園。
そんな学校に、眠る前までは平凡な高校生活を送っていた私が。逆巻兄弟達と通い始めるのだ。あんなセレブ学校に一般人の私が。なんてことだ、絶対平穏になんか過ごせない。















そんな確信を持ちながら発した言葉には思いの外に楽しそうに聞こえて、自分で言ったのになんて薄情なんだと思ってしまった。



それは多分、現実から逃げ出せているから。
自分を制御しながら毎日を生きていくより、まだ自分が制御されてないこの世界で過ごせる事がどんなに楽か。
そう考えてみれば逆巻兄弟達と出会ったこの世界で、私はまだ相手に合わせるという行動をしていない。
だから、ヴァンパイアが実在するという恐怖より楽に過ごせる幸せが強くて、そこまで不安とか焦りとかはあまり感じないんだと思う。













「.......その為にまずは、昼と夜を逆転させなければ行けないしね。今日は徹夜する気でいないと」




まあ、話を戻すと夜間学校というからには遅い時間から授業を受けるという事で。睡魔に襲われかねない、とごく普通の生活をしている人なら想像するだろう。
というより私だから絶対眠くなるだろう。
早寝早起きだけは何故か得意だった私だから、その事に直ぐに気がついて


「よしっ、眠気なんて全部吹き飛ばしてやるんだから!」







初日から休む訳にもいけないし、今日は根性で!と意気込んで過ごしていたのだけれど、やっぱり、というより最早そんなに簡単に物事が進むハズが無かった。

もう眠い。無理。そう言うようになると先程とは別人の様に諦めていて






「.......もう寝よう、そうしよう」



やはり人間は眠気には勝てない、徹夜できる奴を今だけは尊敬しよう。
他人事の様にそう呟いて、最後にはどうでも良くなってベッドに流れるように突っ伏した。








その後に自分が飛んでもない事に巻き込まれるなんて想像もせずに。









Chapter4. 悪あがき
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