*Dream trip
□Chapter.2 夢であってほしかった
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「.....ぁ?誰だお前」
入ってきたのは、画面の中で何度も見たあの人で。
「.....え、」
思わず、身体が固まった。
......この人、アヤト?アヤト君?え、アヤト君ってゲームの中の人じゃなかったっけ?
いや人じゃなかった、ヴァンパイアだった。
え、でもなんで居るの。
コスプレ?コスプレかな?あーわかった、遊園地のアミューズメントの何かなんだ。それの演出でアヤト君のコスプレやってるんだそうなんでしょ、絶対そうだ。それにしてもクオリティ高いね、カメラ持ってきてたら写真撮らせてもらってた絶対。
無理矢理何かをこじつけようとする。
そうしている自分は客観視するとあまりにも滑稽で、思わず失笑してしまいそうになる。
"だってこれがゲームの世界だったらあり得るよ、トリップとかそんな感じでストーリー始まっちゃう感じだもんね"
自分の言った言葉が不意に蘇る。
それは何故だか現在の状況を表しているようで
......え、トリップ?
............トリップ!?
「ちょ、どうし........どうしよう?はぁ!?いや、待って、ない、ない。ないってば..え?」
上手く理解出来てない状況に、裏返ったような声がでる。
しかも、言葉が成り立ってない。明らかに動揺しているのは見え見えだった。
「....はぁ?お前何言ってんだよ」
私の事を変だ、と思ったらしく私の言動を聞いていたアヤトが怪訝そうな顔をしながら口を開いた。
「.....ぅえっ、いや.....その」
私はその言葉に反射的に後ずさりしてしまって
「......お前、何逃げてんだよ」
アヤトが低く、そう言った。
..あ、ちょっとまずい事しちゃったかも。
その行いが彼にとってどんな影響を及ぼすのかを思い出したけれど、後の祭り状態で。