長編夢小説
□1st down 黄金の脚を持つ男
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(どうしよう・・・。
めちゃくちゃ緊張する・・・。)
3月、穏やかな春の始まり。
だが受験生にとっては・・・
「セナ!こっちこっち!」
3月、そう。
「受験番号は?」
「・・・021」
私立泥門高等学校、新入生発表の日。
つまりは入試の合否結果発表。
泥門高校を受験した少年、小早川瀬那(こばやかわ せな)は、1歳年上の泥門高校に通う女子生徒兼幼馴染である姉崎まもり(あねざき まもり)と共に合否結果を見に、泥門高校を訪れていた。
「やっぱ帰ろーよ・・・!落ちてるよどうせ・・・!」
瀬那はかなりの小心者である。
結果を見る前から早くも帰ろうとする瀬那を、しっかりものの幼馴染まもりが引き止めた。
「021・・・021・・・」
緊張に震える瀬那の両肩をしっかりと掴み、繰り返し番号をつぶやきながら合格者一覧表を見渡すまもり。
「あった!あった021!」
「・・・!!」
何度見ても存在する、一覧表の021。
「や゛ったあああ!!!」
「えらい!セナえらい!」
涙を流し、震える声で歓喜する瀬那の頭を、まもりがわしわしと撫でた。
「あー!何か10年振りくらいに人からほめられたー・・・」
「数学も英語も全滅だったのに・・・。このまもり先生のおかげですな!
・・・そっか・・・セナが後輩になるのかあ・・・」
「・・・小学校以来だね」
小学生時代、まもりと同じ小学校に通っていた瀬那。
瀬那は小さい頃から小心者で、よくクラスメイトからいじめやパシリに使われたりしていた。
そんなとき、いつも瀬那を守っていたのはまもりだった。
瀬那にとってまもりは頼れる幼馴染で、同時に姉のようにも思っていた。
そんな小心者の瀬那が、高校入試という人生のなかでもそこそこな試練を乗り越えたのだ。
瀬那を弟のように・・・もしくは息子のように大事にしているまもりは、そのことがとても嬉しかった。
「セナ・・・お・・・」
「・・・お?」
「お・・・おおっ?っあ、そうだ!
入学案内とってきてあげる!そこで待ってて!」
「え・・・ちょ!?」
瀬那に何かを言いかけたと思ったら、まもりは急に慌てて去っていった。
(まもり姉ちゃん・・・、泣いてた?)