白の世界
□第7話
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決行当日。
どうやら、どこかから情報が漏れていたらしく、「天使の雫」が保管されているシャーマルン博物館には大勢の警察と雇ったのであろう者たちがいた。
今回、クロロは盗みに参加せず仮のホームで待機している。同じく待機組には先日電話をしていたシャルナークとパクノダ。どちらも美男美女と呼ばれるだろう出で立ちだ。
そして、決行組は全身黒ずくめで背の低い男フェイタン、体格がよくいかにもチンピラ風な男フィンクス、ピンクの髪を一つにくくりジャポン風な服装の女マチ。以上の三人だった。
人数的に見れば旅団は圧倒的に勝ち目はない。しかし、この三人は表情一つ変えずにいる。
「おいおい。情報漏れてんじゃねえか。」
「別に問題ないね。」
「とっとと盗んで帰ろうじゃないかい。」
そう。彼らは「幻影旅団」。これくらいの状況なんて数えきれないほど経験し、狩ってきた。
いつもと同じように盗む。ただそれだけの事。
この後、いつもと違うことになるとは誰も知らずに……。
「にしても、団長はなんでまた、こんな大した金にもなんない宝なんて盗もうと思ったんだ?」
「知らないね。」
「逸話じゃないかい?」
「逸話?」
「天使の雫に涙を落として願うと会いたい人に会えるらしいよ。」
「団長そんなん信じているのか?」
「さあね、勘さ。たぶん「あの子」のためでしょ。」
「あの子」その言葉が出た途端辺りは静けさに包まれた。
「んじゃ、まあ。行くか。」
少しの沈黙の後、フィンクスが言った。
その言葉を言い切るや否や、三人は目にも留まらぬ速さで突入を開始した。
いつもと同じように。