白の世界
□第14話
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ガヤガヤ
ザワザワ
ワイワイ
「いらっしゃーい!
美味しい焼きそばだよー!!」
「綿あめはいかがですかー?」
祭り
それは、町の人という人が集まり、ある人は浴衣を着て、屋台といういろいろな食べ物を売っているところを回り、買い、食べる。メインディッシュには、花火を上げるというもの。
今日は、宿の近くの神社で祭りをしているということをケイが(お菓子を買うついでに)聞きつけてジンと二人で来ていた。
二人とも浴衣に身を揃えている。
ジンはこげ茶に薄く縦線の入ったもの。
ケイは薄紫に所々花の柄が入ったもの。
ケイは目を輝かせて気になる食べ物を買い漁っていた。
「ジン!あれも美味しそうです!」
「まずはその手の中の物を食いきってからにしろ。
お!」
言われた通りもぐもぐと買ったものを頬張っていると、ジンが何かを持って来た。
「ほらよ。」
「猫?」
それは黒い猫のお面だった。
お面にしては珍しい型で、仮面舞踏会のように顔の上半分が隠れるようになっていて、いちいち外さなくても飲食可能となっている。
「今日の記念だ。」
と言うのは口実で、今日は浴衣で普段は被らせているフードが無く、先ほどから周りの視線が気になるジンが少しでも顔を隠せるようにと買ってきたのだった。
そんなことは知らないケイはにこりと笑うと、「ありがとうです。」と言ってさっそくお面を着けた。
「あ!今度はあれをしたいです!」
二人は、祭りをとことん楽しんだ。