白の世界
□第10話
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目の前で床に伏せる大好きな人。この世界に来て初めてできた心許せる人。
何をされた?
ギミと呼ばれる者の念攻撃を受けた。
どんな能力?
分からない。ギミの両腕が無くなっている?
「これで邪魔者はお仕舞だ。
お前ら、さっさと私のコレクションを籠に戻しておけ。」
デルトに命じられ、まだ動ける二人はケイに近寄る。
しかし、暫く動かなかったケイが突然顔を上げ、敵を睨みつけ殺気を送った。
その尋常じゃない殺気に部屋の誰もが動けなくなった。
それを見ると、ケイはアリスを抱え蛍丸を持つと窓から出て行った。
ケイが居なくなると全員が体中から冷や汗を流し、ある者は膝を床に付けている。
「ふふ…んふふ……んふふふふ!!
やはり彼女は美しい!!必ず…必ず私の物に!!!」
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「アリスさん……」
ケイはアパートに戻り、アリスをベッドに寝かせ、手を握っていた。
息はある。
しかし、ギミの能力だろう。
見る見る内に衰弱し、年老いていくアリスの身体。
30代前半の顔は今や、50代位になっている。
「ケ、ケイ……?」
「アリスさん?」
薄く、そっとアリスの目が開いた。