白の世界
□第9話
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目が覚めると、ふかふかのベッドの上だった。
シャランと鉄の擦れる音が聞こえた。それは、首に繋がれた鎖の音。
(ボクは犬ですか……)
そのベッドを中心に半径2mほどの広さで策に囲まれていた。
牢屋
いや、これは鳥籠だ。
鳥籠の中にはベッドと姿見鏡。
部屋の中に巨大な鳥籠。滑稽だ。
「ここは……?」
「お目覚めかい?御嬢さん。」
その声の主は、自分を捕えた黒髪短髪の黒スーツだった。
「ここは、わが主の屋敷だよ。
君は主のコレクションだ。」
「はあ。」
突然コレクション呼ばわりされて、訳が分からない状況の中、ゆっくりと扉が開かれた。
「やあ、ケイさん。博物館以来だね。」
「あ。」
「覚えていてくれたのかい?」
少し頬を赤らめ、両手を広げ喜ぶ初老の男性。
「誰ですか?」
思わずずっこけそうになる黒スーツたち。
何人かはこけている。
「ひどいなー。私だよ私。
デルト・シャールマンさ。博物館で合っただろう?
んふふ。ほら、君に切られた腕。君が綺麗に切ってくれたから、義手がうまく着けられたよ。
はぁ、君に会えたら傷が疼いて使用が無い。
ああ、その服やはり似合っているよ。私の見立て通りだ。美しい。」
デルトのセリフは一通り聞き流して、自分の姿を鏡で見ると、赤く燃えるような煌びやかなドレスを身に纏うケイ。
下がっていたテンションがさらに下がった。
「名残惜しいが私は仕事があるのでね、これで失礼するよ。
また来るよ。
ああ、そうそう。逃げようなんて思わないでくれよ。その檻は鋼鉄製だし、入口と中には常時3人の人間を置いておく。」
デルトはパタリと扉を閉めて出て行く。
「改めて、俺はコルク。まあ、仲良くしましょうね。」
どうやら、黒髪短髪の黒スーツはコルクと言う名前だったらしい。
「よろしくです。」