白の世界

□第7話
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 黒髪に至って普通な服装。額には包帯を巻き、人通りの少ない道を歩く青年。
 一見美青年で、人当たりのよさそうなこの青年はA級賞金首でもある「幻影旅団」の、「蜘蛛」の団長、クロロ・ルシルフルであった。

 彼は今日、今回のお目当て品「天使の雫」の下見も兼ねて、周辺を歩いていた。

 「そろそろホテルに戻るか。」

 そう呟いた時だった、一人の少年のような少女のような、男性のような女性のような者とすれ違った。いいことでもあったのか、陽気に鼻歌を歌っている。
 しかし、彼が気になったのは鼻歌の内容なんかでも、その袋の中身でもなかった。





 匂い







 この匂いは確かにあいつの……。


 咄嗟に陰に隠れ、絶をすると相手も「何か」に気づいたのだろう。彼がいたであろう場所をじっと見つめている。

 「少し、調べてみるか。」

 また一つ呟き、仲間であり旅団の情報担当でもあるシャルナークに連絡をした。

 「もしもし、団長?」
 「ああ、シャルか。天使の雫とは別で調べてもらいたいものが出来た。」
 「別で!?」
 「少し気になってな。」
 「俺、そのうち過労死すると思う……。
 金は払って貰うからね?」
 「ああ。別で払う。」
 「わっかたよ。」
 「頼んだ。」

 電話を切り、ホテルに向かう彼の顔は、心なしか微笑んでいるように見えた。

 「必ず、見つける。」

 己に言い聞かせるようなその言葉をその場に残し、クロロはホテルへと戻った。
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