DIABOLIK LOVERS
□愛する人は
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俺は愛している。
実の姉であるハルを…
親父のせいでおかしくなった、母親。その変わりに俺の面倒をみてくれたのは、2歳上のハルだった。
ハルは、俺の唯一の理解者だった。
昔お袋は、俺を見るたび、狂ったように暴れ出した。親父に似てるってだけで、虫酸がはしる様だった。
「スバル…愛してるわ…スバル…」
俺のことを愛してるとお袋は泣きながら何度もいった。
「母さん…俺…」
「きゃあああああああ!!!!なんで…お前が…お前がぁあああ!!」
お袋は完全におかしくなっていた。
あいつのせいで…全部…。
俺は…俺はお袋に愛されたかった。
あの時は幼い子供。母親の愛を欲していた。
母親に拒絶されるようになった俺。
いつしか、ハルは俺の面倒をみてくれるようになった。
いつも、俺の隣にいて優しく見守ってくれる。
親父の血が繋がっているってだけで、一つの屋敷に集められた兄弟達。あいつらにうんざりしていた、俺の唯一の理解者は、ハルだった。
兄弟の中でも、一番年下である俺はよく三つ子にバカにされ、壁に穴を開けた。あいつらが鬱陶しくて家の物を壊しては、よくレイジに怒られた。
そんな俺を、ハルはかばってくれた。物を壊してレイジに怒られようとするならば、上手く言葉がでない俺の変わりに謝ってくれた。
他の兄弟にバカにされようとするなら、俺を全力で守ってくれた。
いつしか…俺は、このハルの優しさに…唯一の理解者で、姉であるハルに恋をしていた。
この想いに気づいた頃は、ヴァンパイアであるこの俺に恋愛の感情が生まれること自体、馬鹿馬鹿しかった。相手は実の姉。叶わぬ恋だと…イライラしては家の物を壊した。
「まったく、スバルって奴は…。ハル、スバルにいってやってください。」
呆れるレイジをハルは制した。
「スバルくんは、そういう年頃なの。そっとしておいて…。」
俺が暴れるとハルはいつも俺の所にくる。余計、苦しくなるだけなのに…。
「スバルくん…どうしたの。最近、イライラしてない??嫌なことがあったら、私に言うんだよ…?」
「…ハル…。俺…、…ハルのこと愛してる…。」
「ふふっ、スバルくん、私もだよ。スバルくんは私の弟、頼れるのはスバルくんだけなの。ずっと…一緒にいてね。」
多分…ハルは俺を男として愛してるんじゃない。家族として、弟として愛してるんだ。
でも、このままでもいいとおもってた。
ずっとハルが側にいてくれるなら…
だけど、あの日…あいつらが転校してきてからハルは…俺だけのハルじゃなくなった。