ハイキュー!!
□岩ちゃんの恋
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最近、岩泉くんとよく目があう。
(…またあった。)
なんでだろう、みつめてもいないのに…不思議だった。
(…私、何かしたかな。)
だけど、目があう度に少しドキドキした。胸がチクっとする。
表すことのできない、この感情。
どうしたんだろう、私。
「いーわちゃんっ!!!」
「…。」
「岩ちゃん!!!!」
「…あ、お前か。わりぃわりぃ。」
「どうしたのっ、そんなボケーっとして!!」
「…え、そうか?」
「そうだよっ、岩ちゃん最近なんかずっとこうだよっ!!」
「…だよな。どうしたんだろ、俺。」
「…!?もしかして!?好きなコでもできたのっ!?」
「は!????ん、んなわけねぇだろ!冗談もほどほどにしろよ!!!」
「ははーんっ、岩ちゃん、恋してるんだね??」
「…そんなわけ…。」
「そんなわけあるの!!!」
「はぁ…。」
「で、相手は誰なの??」
「…しらねぇよ。」
「岩ちゃん!!自分に正直にならなきゃダメだよっ!そんなんだから彼女できないんでしょっ」
「お前じゃあるまいし、彼女とか欲しいなんて思ってねぇよっ!!!ただ…。」
「ただ…?」
「少し、あいつのことが気になるだけだ。」
**
そういって、目を向けた相手は同じクラスの風早奏ちゃんだった。
地味なコたちといるからなのかもしれないけどたいして目だってもいない、でも透き通るような白い肌にくりっとした瞳…顔は可愛い。
というか、童顔。
…岩ちゃんって、あーゆうコタイプなんだ…。
いつも、岩ちゃんに好意を寄せてくる女子は俺が追い払っていた。
でも、今回はあの岩ちゃんが恋をした…。
なんでだろ、協力しなきゃっていう闘志?みたいな気持ちが湧いてきたんだよね。
俺も、そんなに奏ちゃんのこと嫌じゃないし。
応援したいって思った。
「いーわちゃんっ」
「…なんだよ。」
「協力してあげようか??」
「はぁー?意味わかんねぇ、別に俺は何も求めてねぇよっ」
「そんなこといって〜!!…この前、奏ちゃん隣のクラスの男に告られてたよ?(ボソっ)」
「…!???かっ、関係ねぇだろ!そんなこと俺には!!ほらっ!!時間だろっ部活いくぞ!!」
「は〜しょうがないなー。…ぁ、岩ちゃん、先いってて。俺、用事思い出したっ。」
「あ???用事?なんだそれ…?」
「いいのいいのっ、ほらっ先いってて!!」
「あんまり遅れんなよ…インハイ予選近いんだからな。」
「わかってるよっ。」
こうして、岩ちゃんを一人部活に行かせた俺。
やるべきことは…一つでしょ!!
人気がなくなった教室。ハルちゃんはいつも教室で勉強してるはず!!
「奏ちゃんっ。」
「へっ!?なにっ!??おっ及川くんっ!??」
可愛い顔しちゃって…岩ちゃんにもったいないな…いや、違う違う!俺は岩ちゃんに協力するんだ!
「奏ちゃんっ、いつも放課後、ずーっと勉強して疲れてるでしょ??気分転換にでも、俺たちの練習みにきてよっ」
「バレー部の…?」
「うんっ!!」
…どうかな。突然だったけど、大丈夫かな。あ、でも逆にハルちゃんが見にきたら岩ちゃんに…。
…でも、いったことだし後戻りできないよね。
奏ちゃんは、なんて答えるのかな…。
「…いきたい。」
「え!?」
「バレー部の練習…見にいってみようかな…。ずっと勉強で疲れてたから、気分転換にいってみようかな。」
「本当っ?嬉しいなぁ〜!じゃあさっそくいこっ。」
「あ、う、うん!」
こうなったからには、後戻りできないっ。男、及川徹、親友岩ちゃんの為に頑張ります!!
***
部活が始まって20分ーー。
「まだ、あいつこねぇな。何してんだ??」
「岩泉ー及川遅くねーか?」
「おう、なにやってんだか…。」
「遅れてゴメぇぇぇんっ!!!」
「さーすっ!!!!」
「おせぇよ!及川!!!もう20分たってんぞ!!!」
「ごめんごめんっ、ちょっとね。」
「ちょっと??」
「よーしっ、じゃあアップとってこようかなーっ。」
「おう…さっさとしてこい…。…?ん?っておい!!!!!!」
「何?岩ちゃん。」
「な、なんで風早がいるんだよっ!!!!!!お前…!!!!」
「なにさ、別に奏ちゃん毎日勉強ばっかで飽きてるかなーって思ってたから連れてきたんだよ?」
「はぁ?」
「それに…岩ちゃんのかっこいい所もみせられるしね(ボソっ)」
「…!お、及川…お前…!!!!」
「こわいこわーいっ、じゃあ俺はアップとってこよーっと。」
「はぁ…。」
あいつが遅れてきたのも何かと思えばこれだ。
俺が気になってるっていっただけで
、変なお節介を回してくる。
練習なんてみにきたら、逆にあいつに惚れたりするんじゃねぇか?
…まぁ、しょうがない。今は練習に集中するしかない…。
…にしても、気になるじゃねぇか。
好き、だなんてそんな感情抱いたことないからわからない。
俺は風早のことが気になるーーそれって好きってことじゃないのか?
自分で色々自問自答していた。
答えはまだみつからない。
だけど、いつも目の先にいるのは…風早だった。
あーもうわかんねぇ、こんなにむしゃくしゃすんのは及川のせいだ。
あいつにバレる事はめんどくさいことになるっていうこと自体わかってたんだけどな…。
俺は…あいつの力を借りたいと思っているのか…?
いや、少し違う。
だけど…。
俺は、自分が進歩するのをあいつに助けてもらいたいって思ってるのかもしれない。