ハイキュー BL

□溺れる…
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僕は、あなたに……。





「蛍、美味しかった?」
「はい、ごちそうさまでした」


僕は今、黒尾さんと喫茶店に来ている。ショートケーキの評判がいいと聞いて、一度行ってみたかったのだ。


「これからどうする?」
「まだ飲み物残ってますし、ゆっくりしたらいいんじゃないですか?」
「それもそうだな」


二人とも大学生になり、僕は東京へ上京した。同じ大学というわけではないが、前に比べたら格段に近くなった。
今日はお互い休みだったので、久しぶりに何処かいこうかと黒尾さんが連れて来てくれた。


「……なぁ」
「はい?」
「横、おいで」


ポンポンと席を軽く叩く。ニヤニヤした顔が無性にむかつく。


「嫌ですよ。体のデカイ二人が並んで座るなんて」
「いいじゃんかよ、ほら」


……はぁ、と僕はため息をついた。あぁなると、結構頑固なのはもう知ってる。僕が動かなかったら、自分から僕の方へ無理矢理くるんだから。


「はい、ぎゅうー」
「何してんですか、こんなとこで」
「何か、抱きしめたくなった」


……この人は、こういうのを恥ずかしげもなくやってしまう。顔は見えないけど、すごい優しい顔をしているんだろう。


「はぁ、幸せ」
「僕は苦しいです」
「もうちょっとだけ」
「……はぁ」


断りはしない。小さな抵抗だけ。だって、僕もこうしてもらうことは好きだから。あなたの匂いに包まれて、あなたの体温で温められる。それがすごく幸せだと知ってるから。
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