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『刺激的観察』Ver.手塚
(前回の@からの続きです)


@乾
いやぁ、それにしても3冊とも良く出来ている。
どこからどう見ても、ファッション雑誌だもんな。
改めてまじまじと眺めていると、とある見出しが目を引いた。
『今こそ!ハイキングがアツい!』
は、は、ハイキングって…!
こんな見出しで若者の興味が引けるのか?
…いや、待てよ。
1人いるじゃないか。
逆にこんな文句でなければ興味を引かないような奴が。
よし、そうと決まれば早速仕掛けるしかないな。

部室に誰もいないことを確認すると、壁際のベンチにさりげなくそれを置いた。
目当ての人物は、そろそろここへやって来るはずだ。
よし、空きロッカーの中に身を隠して…と。

*****

@手塚
「…ん?」
急に、打球の音が微妙に変わったように思った。
「手塚、どうかした?」
「いや、少し違和感が…」
不二の問い掛けに答えながらガットに目を遣ると、中心が切れかけていた。
おかしいな、つい先日張り替えたばかりだが…。
「すまない不二、新しいラケットに替えてくる」
「うん、いいよ」

皆が練習に打ち込んでいる中、部室はしんと静まり返っている。
ところで乾のやつはどこに行ったんだ?
着替えをしているところは俺も見たが、その後の行方は誰も知らなかった。
出てきたらグラウンド50周だな。
そんなことを考えつつ、ロッカー内のテニスバッグから、新しいラケットを取り出した。
うむ、このラケットは大丈夫なようだな。
ガットの張り具合を今一度確かめ部室を出ようとしたところで、ベンチの上にある何かが目に付いた。
何だこれは…ファッション雑誌?
こんなところに出しっぱなしにして、菊丸か桃城辺りか?
あれだけ常日頃『整理整頓』を言っているというのに、全く…!
片付けようと手にし、そこでようやく見出しを理解した。
『今こそ!ハイキングがアツい!』
な、何っ?!ハイキング…!
ほう、今時の雑誌も、ようやくその良さに気が付いたのか。
俺もしばらく山には行っていないな。
登山…とまではいかなくても、ちょっとしたハイキングぐらいしたいものだ。
ファッション雑誌の特集するハイキング…とは、果たしてどんなものなのだ?
洒落た靴やパーカーでも載っているのか?
俺は、ただの興味本位で頁を捲った。

「………」
気付けば反射的に頁を閉じていた。
何だ?今見たものは、一体何だ?
女性の裸体…だったように思うが。
今時のハイキングは、まさかそんな格好で…?
いやいや違う、そんなことをしたら生死に関わることだってあるぞ。
第一、虫に刺され放題ではないか。
あっ、もしかして今の頁はいわゆる『グラビア』だったのでは?
いかんせんこういう類いの雑誌は全く見ないからな、きっとそうに違いない。
若干戸惑いを覚えながらもそう言い聞かせ、再び表紙を開く。

いや…それにしても…際どいにも程があるな…。
今時のグラビアはこんな全裸で…?
もっモザイクが掛かっているが…。
これ…何頁続くんだ…?
ついに痺れを切らし、適当に捲っていくと、簡単に最後の頁に辿り着く。
……ん?
『ハイキングがアツい!』はどこに行った?
結局全てグラビア?ということか?
何なんだ…最近の雑誌は分からんな…。
あぁ…ハイキング、見たかった。

*****

「手塚ー?」
「すまん不二、今行く」
不二に呼ばれ、手塚は雑誌をベンチに戻し、部室を出て行った。

結論:手塚は純真。
   (エロ本だと気付かなかった位だからな…)



次回大石・菊丸編。


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