物語
□悪魔の看護師 始まり
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こんなにゆっくりできるのはいつぶりだろうか。
ベポの腹に頭を乗せ、目を瞑っているのはハートの海賊団、副船長であるトラファルガー・ルーである。
波の音とどこかでウミネコが鳴いているのを聞きながら、ルーはつかの間の休息を楽しんでいた。
すると、船内のどこかから騒いでいるのが、いつものことだ。ルーが気にすることはなかった。
しばらくすると、人の気配が近づいてきたので、
ルーは伏せていた目を少し開けると、開いた目は深海のような深い藍色が現れた。その目の先にはルーよりも暗い藍色の目をを持った、リアンの双子の兄であり、ハートの海賊団、副船長であるトラファルガー・ローが立っていた。
ルーは少し口端をあげながら、いつもの言葉を言う。
「今度は何があったの?」
「別に、いつものことだ…」
大方、ラッコかシャチが何かをやらかしたのだろう。きっとまた、ローの能力でバラバラにされているのが目にみえた。
「早くなおしてあげたら?」
ルーは楽しそうに言う。
「イルカとペンギンがなおすから心配ねぇ」
いつも通りのやり取り、いつも通りの兄の言葉にリアンはまたも口端をあげた。
すると、頭の下にいるベポがむにゃむにゃ言っているのが聞こえた。
「船長…副船長…」
幸せそうな寝顔と声に2人は顔を見合わせて少し笑った。
すると、ローは隣に腰を下ろして、ルーと同じようにベポに頭を乗せた。これもいつも通りのことだ。
ルーはお互い兄弟離れができないな、と思いながらもする気はなかったし、これからも離れる気はない。
こうやっているあいだにも、眠気は襲ってくる。
そのまま夢の世界に2人は仲良く旅立っていった。
そして、そのまましばらくして身体をなおしてもらったラッコとシャチ、身体をなおしてあげたイルカとペンギンが、船長2人を見つけて微笑ましい光景に笑ったのは言うまでもない。