七つ子の夢・V
□第七十八話
1ページ/4ページ
誰かが私を呼んでいる。
厳しくて、温かくて、優しい声だ。
仲間達の声。
でも私はその声に応える言葉はできない。
応えたくても、体が言うことを聞いてくれない。
ーー……。
ーー……。
ーー……。
落ちていく。
落ちていく。
落ちていく。
何故だか分からないけれど、落ちていくのが分かる。
それは氷の神殿で味わった感覚と同じ。深い深い谷底へと落ちていくあの感覚。
けれど、とてもゆっくりだ。
体は何故か温かい。
あの身を刺す感覚はない。
寧ろ、誰かに守られているような…。
大きな手で抱き締められているような…。
幼き日、いつも甘えていた父親に抱き上げてもらっていたことを思い出す。
.