七つ子の夢・U

□第三十八話
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ちょっと羨ましげにウィスタリアとルウを見送りながらリタは言い、エステルも微笑みながら言う。


「二人共猫ですからね。走っていく姿も可愛いです」


「そうね。まるでカルガモの親子みたいで可愛いわ」


賛同するようにジュディスも顔を綻ばせて、ウィスタリア達を見る。


男性陣は女性陣の言葉に首をひねっていたが。


「可愛い、…のかな?」


「さあな。女の可愛いは、男の俺達にはわかんねえ」


その後、着替え終わったウィスタリアを迎え、パティと別れた一行はベリウスに会いに行ったが、戦士の殿堂の幹部であるナッツに門前払いを受けてしまう。


理由としては、ベリウスは新月の晩でしか人には会わないというのだ。


幾らドンの使いであっても特例は認められず、次の新月まで待たなければならない。


出直すしかないのであれば、砂漠やエアルクレーネ、そしてフェローの情報探しをして宿で休もうと話をしていると、統領代理のナッツが、ウィスタリアに話しかけてきた。


「……ウィスタリア。ルキウス達に会ってみてはどうだ?」


「ルキウス達に、ですか?」


「三年振りなのだろう。あいつらもきっと喜ぶ」


二人は親しげな様子で話しているのをユーリ達は黙って見ていた。
ウィスタリアが数年前にノードポリカに放り出された時、右も左もわからない彼女をナッツが色々と世話をしていたのだ。


ある意味、此処ではレイヴンよりもウィスタリアの方が顔を知られている。


「お前を送り出した時の酒場で飲んでいる筈だ。お前も会いたいだろう」


「勿論です。でも…」


ウィスタリアは伺うように仲間の顔を見る。かつての友人達に会いたいのは本当だし、一緒に酒も飲みたいが――。


「行って来いよ。久しぶりなんだろ」


ユーリがウィスタリアの肩を叩き、エステルも彼の言葉に同意して頷いた。


「ユーリの言う通りです。お友達に会いに行ってあげて下さい」


「そうだよ。会いに行きなよ」


「え、でも…」


「私達のことは気にしないで」


「そうそう。どうせ船で、おっさんとお酒飲んでたんでしょう」


リタの言葉に微かに表情を引きつらせたが、あまり驚きはしない。やはりバレていたらしい。


「あらー。バレてたの」


「バレバレよ。酒臭かったもん」


レイヴンは降参という形で手を挙げたが、反省している様子はない。
すると、闘技場へと続く長い階段を駆け上がってくる足音が聞こえてきた。


「噂をすれば、だな」


「?」


「ナッツさん。今日のパトロールですが…」


姿を現したのはこのノードポリカに集まる兵〈ツワモノ〉達が着るような鎧に、背中に身の丈程もある大剣を背負った青年だった。黒髪を短く刈り上げ、日に焼けた浅黒い肌に鍛えられた体躯からは、野性味溢れる雰囲気が漂う。


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