小説1

□俺と私と10代目
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イタリアへ来て3週間が過ぎていた。
綱吉はすっかりオレガノと仲良くなっていた。
忙しいはずなのにしょっちゅう会いに来てくれるオレガノ。
そんな彼女に、綱吉は完全に懐いていた。
あれからはスクアーロはもちろん、ザンザスも全くと言っていい程来なかった。
 
 
 
そしてあっという間に1ヶ月がたっていた。
今日も綱吉はオレガノを待っていた。
そしてノックの音が。
てっきり彼女だと思っていた綱吉は、いつものように出迎えようとドアに近づく。
だが開かれたドアの向こうには、予想もしていなかった人物が立っていた。
 
 
「・・・・・・・・・・・・」
 
 
綱吉は思わずその場に固まる。
 
そこにいたのは、しばらく会っていなかったザンザスだった。
 
「お・・・お久しぶりです・・・・・・」
 
向こうが何も言ってこないので、とりあえずそう言ってみる。
すると「あぁ」と短い返事が返ってきた。
 
「何か・・・?」
 
「沢田家光の所在がわかった」
 
「え・・・?」
 
突然の知らせに、一瞬理解が遅れる。
それから段々と、その短い言葉の内容を飲み込む。
 
「父さんが・・・見つかったんですか・・・?」
 
「あぁ。とりあえず生きてる」
 
「とりあえず・・・?」
 
何か大怪我などをしているのかと不安になる綱吉に、ザンザスは違うと首を振る。
 
「無事だが、かなり遠くにいるらしい。まだ動けないそうだ」
 
「そうですか・・・」
 
「おまえを狙った奴らの目星もついた。あと数日で決着もつくだろ」
 
「・・・・・・はい・・・」
 
 
良かった。
 
もう狙われる事はないんだ・・・。
 
 
だが、そんな綱吉の考えは甘かった。
 
 
 
「で、これからの事だが・・・」
 
「え?」
 
「おまえが10代目候補だという情報はすでに広まった。もう普通の生活には戻れないだろう」
 
「どういう・・・事ですか?」
 
「これからもあんな奴らがおまえを狙ってくるって事だ」
 
「っ・・・」
 
 
また、自分のせいで周りの大切な人が消されてしまうのか。
 
「日本にいる友達は・・・」
 
「それは大丈夫だ。奴らの狙いはおまえだからな」
 
「っ・・・何で、俺ばっかり・・・!!」
 
「10代目候補だからだろ」
 
「だからそれって何なの?!もうこっちに来てから訳わかんないよ!!」
 
「・・・・・・・・・」
 
怒鳴ってから、綱吉はハッとする。
今まで自分の置かれた状況を理解しているフリをしてきた。
何も知らないとわかるとそのまま何も教えてくれなさそうだったから。
 
ザンザスはだいぶ驚いたようで、しばらくの間そのポーカーフェイスが崩れていた。
 
「何も・・・知らなかったのか・・・?」
 
もはや遅いと思い、綱吉は正直に頷く。
ザンザスは軽くため息をつきソファーに腰を下ろした。
 
 
 
「・・・・・・すまなかった」
 
「え?」
 
「何も説明がなかっただろ」
 
「いえ・・・」
 
聞かなかった自分も悪いと思うし。
 
 
「それで・・・俺はどんな立場にいるんですか?」
 
「・・・知らない方がいいかもしれないぞ」
 
 
 
それでも、知りたい。
 
何も知らずに勝手に周りに巻き込まれる方が怖い。
 
 
 
 
「知りたいです。教えて下さい」
 
 
 
「・・・わかった」
 
 
 
 
それからザンザスはまだつっ立っていた綱吉を自分の向かいのソファーに座らせ、話し始めた。
 
 
そこでわかった事は、なんと自分がマフィアのボス候補だという事。
やっぱりというか、なんというか・・・。
そして父さんもそのマフィアの結構重要な役職についているという事。
ザンザスはそのボンゴレというマフィアの中のヴァリアーというグループに属しているらしい。そしてスクアーロも。
 
 
 
「驚いたか?」
 
話し終えた後、ザンザスがそう尋ねてきた。
 
「・・・少し。でも予想はしてました。スクアーロとかザンザス・・・さんを見て、ちょっと裏の人かなって思いましたし」
 
というか普通の人は顔にいくつも傷跡を作ったりしない。
 
 
 
 
 
―――バンッ
 
 
「「っ??!!」」
 
そこへ、突然ドアが勢いよく開いた。
ビックリして2人がそちらを向くと、人が雪崩れ込んできた。ドミノ倒しのように。
 
 
「ちょっとぉ、やっぱり押しすぎたのよぉ」
 
「だってよく聞こえねーし」
 
「僕は浮いてたから関係ないよ」
 
現れたのは、サングラスをかけた奇妙な髪型のゴッツイ人。
その上に金髪に王冠を乗せた少年。
そしてなんと、宙に浮いている赤ん坊だった。
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
――――――――――――――――――――――――
他のヴァリアー幹部も登場。
綱吉の表記が今までツナだったり綱吉だったりしていたので、綱吉に統一しました。
今までツナで慣れていた方、すみませんι
そして、更新遅くなってすみませんι
2008.01.25
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