小説1

□Neve Bianco
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今日は奈々が街の中心まで出かけていた。
食べ物は近場で住むが、やはり生活に足りない物などは栄えている所へ買いにいくのだ。
 
家光は工事などの仕事でいつものようにいない。
 
つまり、今日は綱吉が1人で留守番をしていた。
 
 
危ないから外に出ては駄目と言われていたが、彼にはどうしても外に用事があった。
 
それは近くの森の中にある。
実は、そこには今までに見た事もないような花が咲いているのだ。
昨日見つけたが、すでに今まで摘んだ花や実が沢山あってそれ以上持てなかった。
だから、今日行こうと決めていたのだ。
そして、帰ってきた母を喜ばせてあげたい。
 
今まで母の言う事に逆らった事などない綱吉だったが、今回だけはどうしても譲れなかった。
 
 
 
そして母が出かけた後、そっと森の中へ入って行くのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
一方、スクアーロはすでに沢田家を見張っていた。
沢田家光が出かけ、その妻沢田奈々も出かけていった。
今がチャンスと思ったら、小さな子供が出てきた。
おそらく、彼が沢田綱吉。
今回のターゲットだ。
 
ここで殺ってもいいが、どうやら森の中へ行くらしい。
なら、より人がいない森の中で殺った方がいいだろう。
助けも呼べないし騒ぎも大きくならない。
 
 
そんな訳で、こっそりと綱吉の後をついていくスクアーロだった。
 
 
 
 
 
 
 
綱吉は目的地まで着くと、その場に座り込んだ。
辺りは目当てである綺麗な花が満開に咲いていた。
喜ぶ母の顔が浮かび、嬉しくなる。
 
 
 
だがそこで、人の気配がした。
振り向くと、銀色の長い髪の真っ黒な服の男が立っていた。
 
スクアーロは相手を睨みつけると、最終確認をした。
 
 
「沢田綱吉、だなぁ?」
 
「はい…」
 
訳がわからず、思わず頷く。
見たことのない人だった。
 
 
「ハッ、こりゃ母親似だな。家光とは似ても似つかねぇ」
 
「お父さんのお友達?」
 
彼の口から父の名前が出て、綱吉は嬉しくなる。
もしかしたら昔の父を知っているかもしれない。
両親は優しいが、綱吉が産まれる前の事を一切話そうとしなかった。
 
 
スクアーロは一瞬驚くが、すぐに苦笑する。
 
「友達だぁ?冗談じゃねぇ。アイツはいけ好かねぇし、沢田奈々と駆け落ちした奴だぁ」
 
「お母さんも知ってるの?ねぇ、前はどんな人だったの?」
 
「あ"?あ"ぁ"、そうだな……」
 
突然の綱吉の満面の笑みに瞬間見とれてしまったスクアーロ。
 
何故だかわからない。
悔しいが、殺気が完全にそがれてしまった。
 
それからさらに不思議な事に、訪ねられた通り、沢田夫妻の昔話まで始めてしまうのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
―――――――――――――――――――――
綱吉の笑顔に敵うものはありません。
ちょっと…段々と白雪姫っぽくなってきそう…かな?
2008.02.28
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