小説1

□兄弟
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「じゃあ、これからもこうして会ってくれる?」
 
「あぁ」
 
「家にも帰ってきてくれる?」
 
「いや……それはちょっと…」
 
どうして、と責め立てられてザンザスはため息をはく。
 
「あのな、考えてみやがれ。好きな奴と一緒に住めるわきゃねーだろ」
 
「何で?」
 
こてん、と首を傾げてこちらを覗いてくる綱吉。
ぶっちゃけ今も結構我慢してる。
 
 
ザンザスはもう一度綱吉にキスをし、今度は舌をねじこんだ。
 
「ふぅ……んん?!…んぅー…」
 
息苦しくなり目の前のたくましい胸をドンドン叩くと、やっと唇が糸を引いて離れる。
 
「なっ……しっ舌……」
 
口を魚みたいにパクパクさせて真っ赤になる綱吉。
ザンザスは可笑しそうに笑い、そのふわふわの髪を撫でた。
 
「これ以上の事、したくなっちまうだろーが」
 
すると綱吉は、今度は湯気が出そうな程顔をほてらせる。
 
本当に、見ていて飽きない。
 
 
 
「毎日会いに行ってやる」
 
「うん」
 
「遠慮はしねぇ。もう兄弟じゃねーからな」
 
「う…うん」
 
すると、車がゆっくりと止まる。
家に着いたのだ。
 
 
「じゃあまたね、お兄ちゃん」
 
「お兄ちゃんじゃないだろ」
 
「あ、そうだった」
 
ん〜…と考える綱吉を見て、ザンザスはまさかと思う。
 
「テメェ…俺の名前忘れたのか?!」
 
「違う違う、ちゃんと覚えてるよっ。ただ、なんて呼べばいいのか……」
 
「普通でいい」
 
「じゃあ………ザンザス?」
 
瞬間、ガバッと抱きしめられた。
 
 
「……やっぱり帰さねぇ」
 
「えっ…」
 
 
 
するといいところに運転手が外から窓を叩き、怒鳴る。
 
「う"お"お"お"お"い!!早くしろぉ」
 
それに我を取り戻し、綱吉は慌てて車を降りる。
 
先程叫んでいた部下は銀色の長い髪に、ザンザスと似た真っ黒な服を着ていた。
 
「すみません…」
 
「いや…今日は良かったなぁ」
 
どうやら思った程怖い人ではないらしい。
 
「知ってるかもしれませんけど、俺、沢田綱吉です。貴方の名前、聞いてもいいですか?」
 
「あ"?あ"ぁ"…スペルビ・スクアーロだぁ」
 
「スクアーロさん、今日はありがとうございました!!」
 
ペコリとお辞儀をして家に入って行く綱吉。
 
いい子だなぁと思いながら車に戻ろうと振り返ると………
超不機嫌な顔のザンザスと目が合った。
 
 
……こりゃあ帰ったら地獄だなぁ…
 
 
 
理不尽な上司にため息をつくスクアーロであった。
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
→後書き
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