小説1

□兄弟
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綱吉が8歳の時。
 
ザンザスはもう沢田家にはいなかった。
 
高校を卒業したと同時に、イタリアへ向かったのだ。
父の後を継ぐために……。
 
 
 
 
彼が家を空けてさらに6年の月日がたっていた。
 
綱吉は中学生となり、そうなると小学生までなかった学力の差というものがはっきりしてきた。
もちろん彼は下の下。
 
 
兄とは6年間全く連絡をとっていない。
 
母親は手紙や電話をたまにしていて、父親は仕事柄会う事も多いらしい。
だが綱吉は手紙や電話もしなければ会いに行く事もない。
 
幼い頃にすごく懐いていた兄。
 
勉強も運動も出来て喧嘩も強い。
 
おまけに誰よりも優しかった。
 
 
 
だが突然いなくなった。
 
自分は、これ以上ないくらい混乱していたと母親から聞いた。
自分でも、その当時の事はよく覚えている。
 
 
そして中学生になった時、真実を知った。
 
 
 
兄が本当の兄ではない事を。
 
 
 
以前から兄弟似てないだのそもそも人種が違うんじゃないかなど、周りから散々言われてきた。
 
だが2人は歳が離れていたため学校などが重ならなかったので、その点ではマシだったのかもしれない。
そんな事を言うのは近所のおばさん達くらいだった。
 
 
真実を知った綱吉だが、だからといってどうしようもなかった。
 
だって当の義兄は海外。
 
向こうから見れば義弟のはずなのに、今まですごく優しくしてくれた。
周りは兄弟喧嘩ばかりしていたが、自分はそんなものは記憶にない。
 
歳が離れすぎていたからだろうか。
 
それでも、確かにあのぬくもりは覚えていて、だからこそ迷った。
 
どんな顔をして会えばいいのか。
 
 
 
ただでさえこんなにも長い間会っていないのに、さらに義兄弟だと知らされて。
 
そもそも、あの優しい兄はまだいるのだろうか。
 
優しかったのは自分が幼かったからではないだろうか。
 
 
 
 
綱吉の中では、どんどん不安だけが積もっていった。
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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年月だとか年齢だとかは気にしない気にしない。
でも10歳差はあってるはず。
早く話を進めたいです。
2008.01.21
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