小説1

□兄弟
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「お兄ちゃん…」
 
綱吉はそっと、兄を呼ぶ。
 

兄といっても本当の兄ではない。
両親が養子として引き取った義理の兄だ。
 
親戚ではあるらしい。
だが、その親が仕事が忙しすぎて、しかもその仕事が子育てにかなり悪影響らしい。
 
なので、並盛に平々凡々と暮らす綱吉の両親に子育てを頼んだのだった。
 
 
その子供の名をザンザス。
 
イタリア人である。
 
3歳の時に家光と奈々に引き取られ、5歳の時に正式に養子となった。
 
だが家光は仕事柄留守が多く、ザンザスは奈々に育てられたようなものだ。
 
 

……だからなのだろうか
 

彼がこうもひねくれて育ってしまったのは……
 
 
 
 

奈々に任せておけば純粋で優しい子になるだろう、というザンザスの実の父9代目の予想は呆気なく外れた。
 
なぜなら、奈々があまりにも人を疑う事を知らないからだ。
詐欺に会いそうになったり、うまく丸め込まれて借金の連帯保証人にさせられそうになったり…。
 
ザンザスは子供ながらに、自分がしっかりしなければと思うようになった。
 
そして彼は、やはり見た目は明らかにイタリア人であった為、いじめの対象となった。
まぁこれは、本人があまり気にしていなかったのでたいしたことではないのだが。
だが向かってきたら応戦する。
黙って殴られるいわれはない。
そんな事もあってか、ザンザスは小学生ながらかなりの問題児とされていた。
 
 
 
 
 
そして彼が10歳の時、家光と奈々の間に男の子が産まれた。
 
綱吉と名付けられ、とても可愛がられた。
 
しかし、2人はザンザスも同じくらい可愛がっていたので、彼の親に対する反抗期というものはなかった。
むしろ、母を悪く言ったり傷付けたりする奴らは次々に倒していった。
 
 
 
初めは戸惑っていたものの、段々と綱吉に慣れていくザンザス。
 
しばらくすると、見事なまでのブラコンぶりを発揮していた。
 
 
「にいちゃー」
 
「何だ?綱吉」
 
「あそぼー」
 
「あぁ」
 
 
普段絶対に見せないような笑顔も、義弟にだけは向けられた。
 
 
 
両親と義兄の元、綱吉は元気に育っていった。
 
幼い頃から可愛かった彼を兄のザンザスが陰ながら護っていたため、純粋に、優しく、それこそ9代目が我が子に求めていたように、綱吉は成長した。
 







 
 
―――――――――――――――――――
やっちゃった、兄弟パロ。
でも義兄弟。
続きます。
まだ終わってない連載物あるのに…。
2008.01.21
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