小説1

□悲しい嘘
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「ザンザスなんて嫌い」
 
 
「………は?」
 
 
恋人の突然の言葉に、ザンザスは思わず聞き返す。
 
 
 
「おい綱吉、今なんて……」
 
「だから、ザンザスなんて嫌いって言ったの」
 
 
そう言う顔は、今まで見た事のないくらい冷たいものだった。
 
「冗談か?いきなり何を……」
 
「本気だよ。だから別れよう」
 
「なっ………」
 
言葉を失うザンザス。
 
こちらに背を向けて去っていく綱吉を、ただただ見送るしか出来なかった。
 
 
 
 
 
 
 
「…よく耐えたな、ツナ」
 
しばらく歩くと、横からそう声をかけられた。
そこには他所の家の塀があり、その上にちょこんと自らの家庭教師が座っていた。
 
 
「リボーン……」
 
ぎこちない動作で首を横に動かす。
その顔は先程の冷めたものではなく、今にも泣きそうだった。
 
 
「…俺っ……ちゃん、と…出来た……かな…?」
 
「あぁ。だが、本当にこれで良かったのか?」
 
すると、綱吉の片目からつぅ…と涙がつたう。
 
「こ、れで…良かっ、たん…だ、よ…」
 
 
 
 
だって
 
 
大切だから
 
 
迷惑かけたくないから
 
 
足手まといになんてなりたくないから
 
 
 
 
 
だからどうか
 
 
恨んでほしい
 
 
憎んでほしい
 
 
 
 
そして
 
 
自分の道を進んでほしい
 
 
 
俺の事など忘れて……
 
 
 
 
 
 

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