小説1
□葛藤
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振り返ると、心なしか機嫌の悪い婚約者が。
「いつまで抱きついてやがる、そろそろ行くぞ」
「え?行くって?」
「式の日程と内容、それから今後のボンゴレについての会議だ」
実はザンザス、この事で綱吉を呼びにきたのだ。
だが当の本人は婚約者の目の前で他の人に抱きつく始末。
そりゃあ機嫌も悪くなるだろう。
綱吉をオレガノから引きはがすと、ザンザスは彼女の肩を抱いた。
「行くぞ」
「う…うん」
照れて紅くなる恋人もとい婚約者を愛しそうに見つめるザンザス。
そんな彼に、後ろから声がかかった。
「ザンザス」
「テメェは…門外顧問の部下か」
「お嬢様を悲しませたら、この私……いえ、ボンゴレが許しませんので、覚悟しておいて下さい」
「ハッ、誰がするかよ」
そう吐き捨て、ザンザスは歩き出す。
彼に連れられて慌てて歩く綱吉は、「オレガノさん、それではまた〜っ」と言い残して行ってしまった。
「お嬢様……いえ、綱吉様……」
残されたオレガノは、ぽつりと愛しい彼女の名を呟いていた。
「もう、ザンザスさんっ、オレガノさんと話してたのに…」
「ずいぶんあいつと仲がいいらしいな」
「へ?まぁ…優しくしてくれるし…」
「…………」
「あれ?ザンザスさん、もしかしてヤキモチ?」
「違ぇ」
「フフッ、楽しみだな〜ザンザスさんのタキシード姿♪」
「俺はおまえのウエディングドレス姿の方が楽しみだ」
「…からかわないでよっ。やっぱりザンザスさんが白い服を着るって想像つかないなぁ」
「…笑うなよ」
「笑っちゃうかも」
「……新婚初夜、覚悟してろよ」
「え"……」
「さぁ〜て、行くかぁ。なるべく早く式挙げるぞ」
「ちょっ…ザンザスさん?!さっきの冗談だからぁ!!」
2人が通った廊下には、バカップルオーラの名残が漂っていたという。
→後書き