小説1

□葛藤
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「おい、綱吉」
 
その呼びかけに2人は同時にバッと振り向く。
 
そこには、彼女の葛藤の原因であるザンザスがいた。
 
 
「ザンザスさん!!」
 
綱吉は喜々としてザンザスに抱きつく。
ザンザスはそれを優しく抱きとめ、微笑んだ。
 
オレガノは目を見張る。
いつも仏頂面、気に入らなければ部下を殴る蹴るの彼が、優しく微笑んでいる…。
 
軽くフリーズしていたオレガノに、綱吉は遠慮がちに言った。
 
「オレガノさん、私、誰に反対されてもザンザスさんと一緒にいたいです」
 
「お嬢様……」
 
「だから、出来ればオレガノさんには認めてほしいです……私の1番の理解者で大好きな人ですから…」
 
「っお嬢様…!!」
 
感動するオレガノだが、そう言う綱吉の傍にはあのザンザスが。
本当は認めたくなどないが、ここまで言われたら認めざるを得ないだろう。
 
 
「…わかりました。それがお嬢様の決めた事で、幸せに繋がるのならば、私は全力で応援致します」
 
「っホント?!」
 
「えぇ」
 
綱吉はザンザスを見てニコッと笑う。
こんなに嬉しそうな笑顔、自分にだって向けてはくれない。
それに応えるザンザスの笑顔も裏のないもので、本当に彼女が好きなんだと一目でわかる。
 
 
すると綱吉は手を広げてオレガノに抱きついた。
 
「ありがとう、オレガノさん!!」
 
ぎゅう〜っと力いっぱいに、嬉しそうに。
 
オレガノはそんな彼女の背に優しく手をそえる。
 
 
「何かありましたら、私がご相談にのります」
 
「はい」
 
「幸せに、なって下さいね」
 
「はい」
 
「それから…」
 
「?」
 
 
「おめでとう…ございます」
 
 
「っ…ありがとうございます」
 
 
やっと祝福をもらえた事に喜ぶ綱吉。
 
さらに強く抱きつこうとした時、首根っこを掴まれ後ろに引っ張られた。
 

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