小説1
□葛藤
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「ザ…ザンザス……」
オレガノはその名の人物を思い浮かべる。
9代目の息子だが血は繋がっていない。
だがヴァリアーのボスとして確実にその存在はマフィア界に知られていた。
冷酷非道、女性や赤子さえにも容赦のない、マフィアの中のマフィア。
ぶっちゃけ門外顧問チームとはあまり仲が良くない。
そんな奴とお嬢様が結婚?!
「し…失礼ですがお嬢様、彼の事はお好きなのですか?」
すると一瞬きょとんとした綱吉だが、先程よりさらに紅くなり嬉しそうに頷いた。
「14じゃまだ早いって言ったんだけど、イタリアじゃ14歳で結婚出来るってザンザスさんに言われたから…」
だから早めの方がいいかなぁなんて、と恥ずかしそうに言う綱吉。
そんな顔も可愛いなと一瞬和んでしまったオレガノだが、すぐに我に返る。
「私は反対です!!あんな凶悪で凶暴な男となんて…結婚したら暴力振るわれて捨てられるのがオチです!!」
「オレガノさん……反対なんだ…」
しゅん、と悲しげに下を向く綱吉。
オレガノはハッと口元を押さえた。
そうだ、彼女はザンザスが好きなのだ。
例えその相手が周りからどう写ろうが、あの顔は確かに恋をする女性のものだった。
しかも父親は反対派。
ここで彼女の味方をしないでどうする?!
だがオレガノの脳内では、綱吉に幸せになってほしいという気持ちと誰にも渡したくないという気持ちが葛藤していた。