小説1
□恋
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綱吉が帰る日。
空港まで送ってくれた。
しかもヴァリアーのほとんどで。
つまりスクアーロとルッスーリアとベルとマーモンと、そしてザンザスだ。
レヴィはもしもの時のためにお留守番だ。
「じゃあ皆さん、本当にありがとうございました」
「う”お”お”お”い綱吉ぃ、携帯渡しとくから、何かあったらすぐ連絡しろよぉ?」
「うん、ありがとうスクアーロさん。飛行機の中じゃ使えないけどね」
「綱吉〜、また一緒に遊ぼ〜ね〜」
「うん、私もまたベルと遊びたいよ」
「綱吉、元気でね。僕の事忘れないでねっ」
「忘れないよ。マーモンも元気で」
「綱ちゃん、私とっても楽しかったわぁ」
「いろいろとありがとう、ルッスーリアさん。それと、凪の事なんだけど・・・」
「任せて。何かわかったら連絡するわ」
「ありがとう」
実は綱吉は、あれからずっと牢屋で会った凪の事が忘れられず、ルッスーリアに全て話して彼に調べてもらっていたのだ。
どうか無事でいてほしい。
そして時間が来る。
「携帯にこっちの番号入ってっから、落ち着いたら連絡しろ」
「はい。本当にありがとうございました、ザンザスさん」
そしてもう一度お辞儀をして、綱吉はみんなに背を向けて歩いていく。
「ボス、いいの?会う約束しただけで」
ルッスーリアがこっそりザンザスに耳打ちする。
「・・・・・・」
「日本で誰かに取られちゃう可能性もあるのよ?」
「・・・・・・・・・」
「そうしたら・・・・・・」
ルッスーリアが最後まで言い終わらないうちに、ザンザスは駆け出していた。
「・・・全く、世話のやける上司だこと」
彼のその突然の行動に、ルッスーリア以外は何事かと目を見張る。
「綱吉っ!!」
「え?」
名前を呼ばれて振り向いた瞬間、綱吉はザンザスに抱きしめられていた。
「・・・へ?ザンザス・・・さん?」
「綱吉・・・好きだ」
「っ!!」
「愛してる」
「ザ・・・ザンザスさん・・・」
「礼なんて言って会おうとして悪かった。好きだ、愛してるからまた会いたい」
「っ・・・・・・」
突然の事に、頭がついていかない綱吉。
「礼なんて忘れろ。そんなのはいらない。ただ、俺の気持ちに応えてくれるなら、もう一度会ってほしい」
「・・・・・・」
「その時、また連絡してくれ。応えられないならしなくていい」
「えと・・・あの・・・」
未だ混乱中の綱吉。
ザンザスはそんな彼女を開放すると、その目を真っ直ぐに見つめて言った。
「よく考えてくれ。いつまででも待ってる」
そして見を翻し、唖然としている部下達のところへ戻って行った。
その場で呆然となっていた綱吉だが、ルッスーリアの「綱ちゃん、もう時間よっ、早く!!」という呼びかけに我に返り、急いで搭乗するため駆け出した。
抱きしめてくれた彼のぬくもりが、どうやっても離れなかった。