小説1

□恋
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空港。
 
ここで、綱吉はある人物と待ち合わせをしていた。
 
 
 
 
「来たっ」
 
 
遠くからでもすぐわかる。
 
背が高いし、全体的にすごく黒いし。
 
 
 
 
 
「ザンザスさんっ」
 
 
 
笑顔で出迎える綱吉。
 
それに応えるように、ザンザスはその黒い集団から抜け出て足早に駆け寄ってきた。
 
綱吉はもう走り出している。
 
 
そして、お互い抱き合った。
 
 
 
 
「答えは・・・出たみたいだな」
 
 
「はい。待たせてすみません」
 
 
 
 
すると、後からスクアーロ達が追いつく。
 
本当はザンザスが1人で来る予定だったのだが、何処から漏れたのか、それを聞きつけて彼らもついて来たのだ。
 
 
 
「う”お”お”お”い!!こんな空港のど真ん中で何やってんだぁ!!」
 
「ちょっとズルイよボス〜」
 
「僕もぎゅってしたいのに・・・」
 
「まぁまぁ、感動の再会なんだからっ」
 
 
それにハッとした綱吉は、慌ててザンザスから離れる。
 
 
 
「みんな、久しぶりっ」
 
 
すると各々、綱吉に近寄って挨拶をする。
 
 
 
それが全て終わったところで、ルッスーリアが前に出る。
 
 
「綱ちゃん、ちょっといいかしら?」
 
「ん?」
 
 
するとルッスーリアは後ろの柱に向かって「いいわよぉ」と叫ぶ。
 
何だろうと思ってそちらを見た瞬間、綱吉は目を見開いた。
 
 
柱から出てきた人物を凝視する。
 
 
 
 
 
 
「嘘・・・・・・」
 
 
 
「ごめんね、本当はもっと早く会わせたかったんだけど、ほら、ボスの事があったから」
 
 
ルッスーリアがそう言うが、今の綱吉の耳には入っていなかった。
 
 
 
 
 
 
「ホントに・・・・・・本物・・・?」
 
 
 
その人物はにっこり微笑み、言った。
 
 
 
 
 
 
「そうよ。また会えたわね、ボス」
 
 
 
 
その言葉を聞き終えると同時に、綱吉は思いっきり抱きついていた。
 
 
 
 
 
「無事・・・だったんだ・・・・・・凪!!」
 
 
 
凪と呼ばれた人物は、泣きながら飛び込んできた綱吉を抱きとめる。
 
 
「嬉しいわ、ボス。それとありがとう。ボスがこの人達に頼んでくれたおかげで、私は助かったのよ」
 
 
凪は綱吉の両肩に手を置き、彼女の顔を上げさせる。
 
 
 
「っでも・・・凪、その目っ・・・」
 
 
そう言われた凪の右目には、大きな眼帯がされていた。
 
 
「あぁ、ちょっとね、どうもその人は目が欲しかったらしくて。でも片方で良かったわ、こうしてまたボスの顔を見ることが出来たんだもの」
 
 
笑って言う凪に、さらに涙が出る。
 
 
涙目でルッスーリアさんを見ると、笑顔でこっちを見守っていてくれていた。
 
本当に、彼には感謝したい。
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
本当に良かった
 
 
 
 
 
 
何処へ連れて行かれてもどんな事をされても、それでも、生きていられたなら、私はもう一度ボスに会いたいわ
 
 
 
そう言って連れて行かれた彼女
 
 
 
 
 
本当に、こうして会えた
 
 
 
 
 
右目はすごく痛々しいけれど
 
 
 
 
 
それでも
 
 
 
 
 
 
生きてた
 
 
 
 
 
 
 
そんな光景を黙って見ていたザンザス。
 
 
「・・・おいオカマ、もうちょっと気をきかしやがれ。俺との再会の感動が薄くなってるぞ」
 
「あら、ごめんなさいね。でも早く会わせたかったし〜」
 
 
 
 
そして散々凪との感動の再会を実感した後、綱吉はやっとザンザスの元へ戻ってきた。
 
 
「ザンザスさんも凪を捜すの手伝ってくれたんですね。ありがとうございますっ」
 
 
「あぁ・・・」
 
 
満面の綱吉の笑顔を前にしては、そう頷くしかなかった。
 
 
 
 
 
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