小説1

□恋
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「はぁっ・・・はぁっ・・・っ・・・はっ・・・・・・」
 
 
 
逃げられない
 
 
追いかけてくる
 
 
 
捕まる
 
 
 
 
 
「いや・・・だっ!!」
 
 
絶対に嫌だ
 
 
捕まったら最後
 
 
でも、どうしたらいいかわからない。
 
 
 
こんな事は日常茶飯事なのか、周りは興味なさそうにこちらを目で追うだけ。
 
 
 
助けはいない
 
 
 
 
「・・・・・・ど・・・だ・・・・・・いや・・・こっち・・・」
 
追っ手の声だ。
 
 
どうしよう
 
 
こっちに来る
 
 
 
私を捕まえに
 
 
 
 
「いたぞ!!」
 
 
 
見つかった!!
 
 
 
 
もうダメだ
 
 
 
そう思った時
 
 
 
 
真っ黒い影が私の行く手を阻んだ。
 
 
 
 
 
 
 
「助かりたいか」
 
 
 
そう言った影は、ゆっくりと私の目の前に手を差し出してきた。
 
 
 
 
 
“助かりたいか”・・・・・・
 
 
 
助かりたい
 
 
 
助けてほしい
 
 
 
 
 
近づいてくる追っ手の足音に迫られたのか
 
 
 
それとも目の前の影が、闇よりも暗い黒なのに何故か光に見えたのか
 
 
 
どちらかはわからない
 
 
 
 
ただ、すがれるのはもうこの手しかないと思った
 
 
 
 
 
 
 
そして私は
 
 
 
 
最後の望みをかけて
 
 
 
 
 
 
 
その手をとった
 
 
 
 
 
 
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