小説1
□お隣さん
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そして世で言うこどもの日。
ザンザスはまた談話室に呼ばれていた。
今度は何だと入ってみたら、またまた白く横に長い旗があった。
そしてそこには大きく“誕生日おめでとう、雲雀さん”と書いてある。
大家の誕生日か・・・こどもの日なんて意外だな・・・などと考えていると、綱吉に腕を引っ張られ席に座らされた。
今日はイーピンと了平、それに骸がいなかった。
まぁ、見ていれば雲雀と骸は最悪に仲が悪いので、多分彼は意図的に休んだのだろう。
それにしても、誕生日をアパート全体で祝うなんて聞いた事がない。
それでも1年間で全員分の誕生日を、つまり年に8回、自分が来たから9回、ちゃんと祝うんだそうだ。
祝うと言っても、歓迎会と同様にただ騒ぎながら飲んだり食べたりするだけなのだが。
プレゼントも、みんな常に金銭的にギリギリな学生であるから、特に用意はしない。
だが今日は骸がいない事をいいことに、雲雀が綱吉に迫っていた。
「ねぇ、いいでしょ、減るもんじゃないし」
「そーゆー問題ですか?!」
接近してくる雲雀にたじたじの綱吉。
そこへハルが間に割って入る。
「雲雀さんっ、無理矢理はダメです!!ザンザスさんも早く止めて下さい〜っ」
そこで、ボーっとお茶を飲んでいたザンザスがハッと気付く。
そして何だこの構図はと思う。
男に迫る大家、それを止める女の子、女の子に守られている男の子。
そして傍観に徹している野球少年。
この状況の原因を聞けば、雲雀が誕生日プレゼントと称して綱吉にキスを迫ったのだという。
そこをハルが助けたのだ。
ハルは、綱吉に無理矢理迫る雲雀と骸には厳しかった。
要は綱吉が1番なのである。
いくらオイシイ三つ巴だって、本人が嫌がっていたら守る!!というのが彼女のモットーだ。
話を聞き終えると、ザンザスは綱吉を引っ張り自分の隣に座らせた。
「あ・・・の・・・・・・ザンザスさん?」
「ここにいりゃあ、あいつも手は出さねーだろ」
そうぶっきらぼうに言って、ザンザスはまた目の前のお茶を飲み始めた。
そんな彼の気遣いが嬉しくて、綱吉は思わずザンザスの腕に抱きつく。
他人に触られた事など物心ついてから大して経験もないザンザスは、驚いて抱きつかれた腕と抱きついてきた本人を見た。
その視線に気付いたのか、綱吉は慌てて手を離し「いきなりごめんなさい・・・」と謝った。
「いや、構わない」
ザンザスはそう言うと、また無表情でお茶を飲み始める。
とりあえず怒っていないようで安心した綱吉は、彼と同じように目の前のジュースを嬉しそうにちびちびと飲み始めた。
「ねぇ・・・・・・これって僕の誕生日会だよね・・・?」
なんだかあの空間に入っていけない雲雀。
まだひとりの方が良かったかもしれないなどと思った。
山本は笑いながらそんな光景を眺める。
どうにかしようという気は彼にはないらしかった。
そしてハル。
「はひーっ、京子ちゃんに早速連絡です〜!!」
次のイベントで“新たなライバル?!それとも本命?!”という、アパート内で起こる男同士の恋愛模様を描いた本が売られたのであった。
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ハルが、書いてて楽しい(笑)
雲雀さんちょっとかわいそうかな・・・?
2007.11.28