企画

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001.それでもなんでもいいけれど


【フ・サ】

「――って言われても困るんだよ」

「ん?そうか?」


フランキーは首を傾げた。
サンジは思わず小さくため息をつく。

「で、結局、お前は何が食いたいんだ?」

「何って…そんだけいろいろ先に注文されてちゃ何が食いたいもねェだろ」


彼が言うのももっともな事で。
サンジがフランキーに何か食いたい物があるか、と聞いてきた。
突然そう言われても困る、と彼が返すと、この船のコックは他にナミやロビンとその他大勢が食べたいものを順にあげていった。どうやら全員に聞いている様子。
7人分の注文が事前にあげられては、後からいろいろと言い出すのはどうかと思ったフランキーは「なんでもいい」という答えを導き出した。


「それじゃァ、意味ねェんだよ」

「なんでだ?」

「なんでってお前な……」


いまいちフランキーが話を理解していないような素振りなので、サンジはガクリと肩を落とす。
船大工の彼からしてみればますますわけがわからない。

「今日誰かの誕生日だったか?」

「いや、違ェ」

「じゃあ、宴でもすんのか?」

「それも違ェ…。それとは話しが違うんだよ」

そう言われてさらに首を傾げる。
はて、その他の目的で全員に注文を聞きだす理由など……


「もうすぐ次の島に着くんだ。今クルー全員が食べたいものをチェックしといてもいいだろうが」


フランキーの心の内を読みとったサンジは仕方がなしにそう説明した。

ああ、なるほど。
ずっと船内にこもっていたから、上陸のことなどフランキーは考えていなかった。
そもそも今まであまりそんなことをこのコックが聞いてきたことがなかったので、彼の意図など理解できるはずもない。

「それならそうとハッキリ言えばいいじゃねェか」


しかしその言葉にたいして、彼は呆れたような顔をして返す。

「もう何回も他のアホ共に説明してきたんだ」

いい加減いいだろうと思ってな。とサンジは言った。だが、その思いも結局は最後の最後まで彼らに伝わることはなかったらしい。
それほどまでにこの船の奴らはコック任せということか、あるいは――


「で、何がいいんだ?」

「そりゃァ、もちろん」


コーラで。

ああ、やっぱり。



野郎どもには食べたいものを確認しても無駄だということがわかったサンジだった。



(食べたいもの=好物:2010/5/23)
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