企画
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018.関係ない
【サンジ/片思い】
そう呟いて、呟き続けた。
もう私には関係ない。なにもなにも、関係ない。
そうやってずっと、言い聞かせてきた。昨日も、今日も、たぶん明日も
「ナミさーーん!!ロビンちゃーーん!!おやつできたよ〜」
いつもの調子でサンジは甲板にいる二人のもとへと歩を進める。
私はそれをただただ横目で見ていた。
…いや、正確には、展望台からその姿を見下ろしていた。
そんな私の手にはさっきサンジからもらった今日のおやつ。
私はもうおやつをもらったのだから、それで話は終わりで、彼がナミたちのところを離れれば、これから夕食の仕度に入って………
何も変わらないいつもの風景。見慣れた日常。
なの、に
どうしてだろう。
ずっと自分はサンジの姿を目で追っている。
――ねえ、私に気づいて!
そう心の中で叫ぶ自分がいることに気がついて
何故だか胸が苦しくなった。
なんだろう、この気持ち。
なんだろう、このわがままは。
私にとって、サンジは仲間であってそれ以下でも、それ以上でもない。
だから、なにも気にする必要なんてない。私には今の彼が誰をどう思っていても関係ない。
そう言い聞かせれば、言い聞かせるほどに何故か不安になってくる。
いったい私はどうしてしまったんだろうか。
『関係ない』
はっきりと声に出しながら、今日のおやつを一口かじる
カスタードと生クリームたっぷりの甘い甘いシュークリームなのに、甘酸っぱい味がした。
(それが恋だと気づくのはいつになるだろう:2011/5/12⇒加筆:2018/8/11)
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