Un orologio senza un ago
□出会い
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「待てー肉ー!!!今日の昼メシィィー!!!」
ルフィはもはやウサギにしか目に入っていないらしく、一直線に追いかける。
しかし、さすがウサギというべきか。相手も相手で4本足で上手い具合にピョンピョン跳ねては砂を蹴り、ひたすら前に進んでいく。
「くっそー、すばしっこいなあいつ!」
このままじゃ昼飯が遅くなってしまう、とでも思ったのか。
なんとかしてすぐにでもウサギを捕まえようとするルフィ。走りながら何かないかと探す。
「お!」
そして目に入ったのは、ちょうど進行方向の先にある大きな岩が1つ。
それを見つけた瞬間、考えるよりも早く行動を開始し、ルフィはおもいっきり岩に向かって腕を伸ばし、がっちりと掴む。
「ゴムゴムのォ……」
ロケット!!!
ゴムの反動でルフィは岩に向かって一直線に飛んでいく。
その際に直線上にいたウサギをキャッチするのも忘れない。
ウサギの方も何事かと思ったのか、避けることもできずにあっさりルフィに捕まってしまった。
ドカーン
そして、彼は岩に激突。
ウサギを腕に抱えて、ぶつかる際に無意識に反動が来ないように自分の懐に持ってきたためにウサギにの方にはダメージはなかったようだ。
もちろんゴム人間のルフィも岩にぶつかっても平気な顔をしている。
「しししっ!つーかまえた!」
暴れるウサギを逃がさないようにギュッと抱えながら、ルフィは嬉しそうに笑う。昼飯のおかずはこいつで決まりだと言わんばかりに。
「ったく。なにやってんだよ、おまえは……」
そんなルフィの様子を見て、遅れて駆けつけてきたゾロが呆れた。
どうやら彼が迷わずにここまですぐに来れたということは、メリー号からそんなに離れていない様子。
「見ろ、ゾロ!肉だ!!」
いや、ウサギだろ……。とツッコミながらゾロはルフィが大事そうに抱えているウサギを見た。
「ん?こいつ何か首にぶら下げてねェか?」
「そうか??」
そうゾロに指摘されてルフィはウサギの方を見た。
よく見るとさっきまで暴れていたウサギは急に静かになり、その目は何かを訴えているようだ。
そして、その首にかかっていたのは――
「時計、か…?」
T〜]Uまでの数が刻んであり、周りを金色で塗装された小さな懐中時計。
チクタクと秒針の音が微かに聞こえる。
「お?これどこかで見たことあるぞ」
どこだったけなァ……と言いながら不思議そうにルフィはウサギが身に着けていた懐中時計に手を触れた、その時
――マ、待って!!――
「「!??」」
どこからか声が聞こえた。
何事かと思い二人は周りを見回す。
しかし、ここには自分たちとウサギしかない。
「ゾロなんかいったか?」
「いや…」
そうなる、と……
ドン
「うお!」
その瞬間、ルフィが抱えていたウサギが後ろ足で彼の胸の辺りを勢いよく蹴った。
不意をつかれバランスを崩したのをいいことに、ウサギはルフィの腕からするりと抜けて地面に着地する。
反射的にゾロは柄に手を添えながらウサギを睨んだ。
体勢を立て直すルフィも帽子を被りなおしながらウサギを見る。
そしてウサギはというと……
――いくら“配達人”だからって、容易く触らないでください――
……しゃべった。
いや、正確にいえばウサギの口は開いていない。
だが今しゃべったのは確かだ。
一体このウサギはなんなのか……。
「………」
「すげー!おまえチョッパーみてェにしゃべるのか!?」
ゾロは唖然とし、ルフィは興奮している。
動物がしゃべること自体は自分たちの身近にもいるから不思議ではない…のだけれども急にウサギの声が聞こえるようになるとは……。
――……本当はあまりしゃべりたくないんです。とにかく、あなたたちに会えてよかった――
「おれたちの事知ってるような口ぶりだな」
――………。話は後です。よければ先ほどの船に案内してくれませんか?――
「おう!いいぞ!」
あっさりと了承してしまうルフィ。
得たいの知れないウサギではあるが、まあ…船長がこう言っているのだから仕方ない。
彼らはウサギを連れてメリー号に戻ることにした。
船に着くまでウサギは必要以上に何かをしゃべることはなかった。
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