Un orologio senza un ago

□出会い
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「んーーーーーーー」


場所は変わってメリー号。


「んーーーーーんーーーーー」


先ほどからずっと唸っているのは船縁に腰掛けているルフィだ。
そのじっと見つめる方向はナミたちが買出しに出かけた村。



「んーーーーーんーーーーんーーーーーーー!!」

「いい加減我慢しろ!」


そう言ったのは、ルフィの近くで眠りにつこうと目を閉じていたゾロ。
どこでもすぐに寝てしまう彼でも、さすがにルフィのこの唸り声は睡眠妨害になっているらしい。

するとルフィは、口をとがらせていかにもご機嫌斜めという表情を浮かばせて言う、


「まだ帰って来ねェんだもんよー」


それを聞いてゾロはため息をついた。
ちなみに、このため息、本日十数回目である。


「おまえ3分置きに言ってるよな…」

「そうか?」


本人は自覚がないらしい。


「おれだって早く祭に行きてェのに!!」

「わかったわかった」


こうなったルフィを止めるのは難しい。というよりもほぼ不可能だ。
それでも村の方へ行かないだけマシなのか……。
もうすぐ昼時。早くナミたちが帰ってくればゆっくりと寝られると思い、ゾロはルフィを適当に相手しながら彼女たちの帰りを待つ。







「………おい、ゾロ」

「あ?」


と、いきなりルフィは騒ぐのを止めた。
どうしたのかと、ゾロは腰を上げて彼の方を振り返る。


「あれ……なんだ?」

「あれ?」

あれだ。と指差す方向を見れば、目の前に広がる砂浜の自分たちの真っ正面に見える…白い大きな点。

「大福か?」

「んなわけねェだろ」

二人はよく目を凝らして白い点を見る。



ピクリ



するとその点は微かに動いた。
それにルフィとゾロも反応して、さらによく見てみる。
なんとなく相手もこちらを見ているような気が……。


白い体に
ピクリと立たせる白くて大きな耳。
こちらをじっと見る赤い目。


………あれは…



「…ウサギ……か?」


ゾロがボソッと呟いた。


「ウサギ!?肉か!?」


なんでそうなる……と呆れたゾロだが、それもつかの間。
いつのまにかルフィはよし!捕まえてやる!!!と意気込んで、船を下りた。
ゾロがマズイ!と思った頃には時すでに遅く、少し向こうで肉ー!!と叫びながらウサギ目掛けて突進していくルフィの姿が。一方のウサギもそれに驚いて慌てて逃げ出す。


「……あの馬鹿…」


村へは行かないものの、どこかへ行って面倒を背負ってきたら面倒だ。今、チョッパーは船室で恐らく薬の調合をしている最中だろう。ここで彼に状況を説明していたらルフィを完全に見失うことになってしまうかもしれない。


(すぐに連れ戻してくる、か)


とりあえず、ナミたちが帰ってくる前にルフィを連れ戻せば問題ない。
ゾロは今まで1番深いため息をつきながら急いでルフィの後を追うことにした。




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